③親権を請求したケース


事例

妻Cさんは、5年前に夫と婚姻し、現在3歳になる子どもと3人で生活していました。現在、Cさんはパートタイマーとして働いており、年収は約90万円、夫は自営業者であり確定申告上の年間所得は約100万円でした。

Cさんは、普段から夫のモラハラに頭を悩ませていました。すなわち、夫は日常的に、Cさんに対して馬鹿呼ばわりしたり、無能と罵るなど、人格を否定するような暴言を吐いていたのです。

怒る男性のイメージ画像Cさんは、このような暴言に対しても、子どものために我慢していましたが、とうとう夫のモラハラに耐えられなくなり、離婚を決意しました。そして、実家に独りで帰り、夫に対して離婚と親権及び養育費を請求しました。

これに対して、夫は離婚には応じるが、親権は絶対に渡さないと主張してきました。Cさんは、離婚まで時間が掛かると考え、子どもの引渡しを夫へ求めました。

しかし、夫は子どもを渡さないと主張しました。夫はCさんが実家へ帰ってすぐ、自分の母親を自宅に呼び寄せ、子どもの面倒を見てもらっていたのです。

祖母のイメージ画像そこで、Cさんは弁護士に依頼し、離婚調停を申し立てました。

しかし、調停でも親権についての話し合いがまとまらず、別居から約1年後に不成立となりました。そこで、今度は離婚訴訟を提起し、親権を争いましたが、訴訟提起から1年2か月後(別居から約2年半後)、夫を親権者とする判決が言い渡されました。

解説

up-takesitaこの事例は、親権の争いが起こっていますが、Cさんが敗訴した決定的な要因は、Cさんが子どもを残して独りで実家へ帰ったことです。

すなわち、親権の判断において、裁判実務では、現在の監護状況をできるだけ尊重する方向にあります。これを継続性の原則といいます。

訴訟で親権を争うと、判決までに長期間を要します。訴訟の平均審理期間は1年2ヶ月ほどです。その前に調停も行なっていますから、別居から判決まで2年以上経過していることがほとんどです。

つまり、判決の時点で、長期間、夫が子どもを単独で監護しているという既成事実ができるのです。そのため、裁判では夫に親権が認められたのです。

この点、Cさんは、別居したのは夫のモラハラから逃れるためであり、あくまで一時的に避難するつもりだったとの反論がされました。

しかし、夫はモラハラの存在について、否認しました。

説明する男性のイメージイラストモラハラの立証責任は、それを主張するCさん側にあります。モラハラは目に見えない暴力と言われており、立証することがとても難しいものです。

また、モラハラ加害者は、自分自身に非がないと思っていることが多く、裁判等ではモラハラについて認めることはほとんどありません。

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