履行確保手続


ここでは、養育費や慰謝料について、支払うとの合意が成立した後、万一、相手方が支払ってくれない場合、どうすればよいかについて解説します。

ポイントの解説をする女性のイラスト

任意の支払請求

相手方が支払ってくれなくても、いきなり法的措置をとるのではなく、相手方と連絡が取れるのであれば、まずは相手方に支払うように伝えるべきです(任意の支払請求)。

相手方としては、悪気がなく単に忘れている場合があるからです。

b8fdd4c2b162391ffb45d8a240abcac6_sまた、相手方が経済的に苦しく支払えない場合もあります。

このような場合、いきなり強制執行などするよりも、支払いを猶予してあげるなどしてあげたほうがスムーズにいくことが多いです。

なお、相手方に代理人弁護士がついている場合、相手方本人に直接請求せず、代理人弁護士に連絡するとよいです。

弁護士が辞任している場合、その旨回答するはずですので、その場合は相手方本人に連絡します。

 

 

履行勧告

履行勧告とは、支払義務者が支払ってくれない場合に、当該義務を定める調停等をした家庭裁判所へ申出ることにより、裁判所が履行を勧告する手続です。

これは慰謝料や養育費などの金銭的なものだけではなく、面会交流の拒否なども利用できる手続です。

e72001241f07a3b9254583c491b3004d_s申出の方式に制限はなく、書面、口頭、電話による申出も認められます。

申出があると、家庭裁判所調査官が不履行の有無、理由などを調査し、履行勧告をしてくれます。

ただ、この手続は法的な強制力はなく、義務者に心理的な効果を与えるにとどまります。

したがって、あまり利用はされていません。

 

 

履行命令

裁判所のイメージ画像履行命令とは、支払義務者が支払ってくれない場合に、当該義務を定める調停等をした家庭裁判所へ申立てることにより、裁判所が相当の期限を定めて履行を命じる手続です。

この手続は、養育費や慰謝料などの財産上の給付を目的とする債務に限られます。

万一、相手方が履行命令にしたがわない場合、10万円以下の過料に処せられます。

しかし、制裁が軽微なため、実務上は履行勧告と同様あまり利用されていません。

 

 

強制執行

217616強制執行は、文字どおり、相手方の財産を強制的に取り立てるものであり、非常に強力な手段です。

慰謝料や財産分与の未払の場合

31da9e3caff6404497f53a6b0cce66a8_sまず、相手方が多額の預貯金を有しており、当該口座の銀行等の支店名まで判明している場合、預貯金を差押えるのが効果的です。

次に、相手方が不動産を有するときは、当該不動産の競売を検討します。

ただし、不動産の競売は、オーバーローンの場合は回収できません。また、予納金の負担や手続に時間を要するというデメリットがあります。

支払義務者が預貯金や不動産を所有していない場合、給与の差押えを検討します。
ただし、この場合は給与の4分の3に相当する部分は差押えることができません。

その他、相手方が高価な動産(宝石、絵画等)を保有している場合、当該動産を差押えることも考えられます。しかし、実務上はほとんど行われていません。

 

養育費の未払いの場合

子供の画像養育費は、慰謝料や財産分与とくらべて毎月の支払額が低額であることが通常ですから、未払の場合は、まず給与の差押えを検討します。

養育費は特別に保護されており、慰謝料などと異なり、給与の2分の1まで差押えることが可能です。

また、養育費については、将来支払ってもらう分についても、差押えが可能です。

例えば、毎月の養育費が5万円であったところ、相手方が6回分を支払っておらず、未払い養育費が30万円(5万円☓6か月=30万円)に達していたとします。

この場合、未払分の30万円だけではなく、将来受給予定の月額5万円についても、差押えることができ、毎月、相手方の勤務先から直接支払ってもらうことが可能です。

履行確保は専門的知識が必要な手続です。くわしくは離婚専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

>> ご相談の流れについては、こちらをご覧ください。