経営者(社長)の場合は婚姻費用や養育費の算定が異なる?


計算式等のイメージイラスト

年収が2000万円を超える場合

db4d705951df4e1fd649577e7964ef45_s配偶者の一方が会社経営者の場合、年収が2000万円を超えることが多々あります。

このような場合、婚姻費用や養育費の算定が非常に難しくなります。

すなわち、婚姻費用や養育費の算定にあたっては、家庭裁判所は、通常、算定表を用います。

【 養育費・婚姻費用の算定表はこちら ⇒ 算定表(PDFファイル) 】

しかし、この算定表には年収の上限2000万円までしか記載されておらず、これを超える場合はどのようにするかが不明確なのです。

つまり、義務者(支払う側)の年収が3000万円、4000万円と上がっていけば、

①養育費・婚姻費用は上限2000万円で算定すべき(打ち止め)

という考え方と

②養育費・婚姻費用も増加する(打ち止めなし)

という考え方があります。

 

ここでは、具体的な事例をあげて、説明します。

事例

【会社経営者である夫の年収が3000万円、妻の年収が100万円、子どもが2人(10歳と8歳)、夫婦が別居して、妻が監護者として子どもたちを育てている場合】

家族のイメージイラスト上記の場合を例にとって考えてみましょう。

算定表は表13婚姻費用・子2人(第1子及び第2子0〜14歳)を使用します。

表の「給与」の縦軸を見ると、義務者の年収の上限は、「2000」(万円)となっています。

妻の年収は100万円なので、「給与の」の横軸の「100」(万円)を基準にします。

①の考え方を取ると、義務者の年収を2000万円とするので、縦軸の「2000」の欄を右横にのばした線と、横軸の「100」の欄を上に伸ばした線が交差するのは「36〜38万円」の枠内となります。

②の考え方を取ると、夫の年収が算定表の上限を超えているため、算出できません。

この場合、次のような計算式を使って算出します。(計算がやや複雑です。)

基礎収入を算出

【給与所得者の場合】総収入☓係数(0.34ないし0.42)

色々な職業のイメージイラスト基礎収入とは、実際の収入から公租公課、職業費及び特別経費等を控除したものです。

算定方式は、簡易迅速に算定するため、統計等に基づいて生活費を指数化しています。

上記のように、係数が0.34ないし0.42と幅があるのは、生活費が、必ずしも所得額に比例するわけではないからです。

つまり、所得が上がるにつれて生活費も同じ割合で上昇するという性質のものではないので、高額所得者の基礎収入の割合は、そうでない者に比較して小さくなります。

ここでは便宜的に係数を中間の0.38で算出することにします。

夫の基礎収入 3000万円☓0.38=1,140万円
妻の基礎収入 100万円☓0.38=38万円

 

生活費係数を算出

【親を100とした場合】

子どもの年齢  0~14歳 55
15~19歳 90

したがって、事例の場合、
夫の係数 100
妻の係数 100
子どもの係数 55

 

権利者世帯に割り振られる婚姻費用

Z=(X+Y)☓(100+55+55)/100+100+55+55

Xは義務者(夫)の基礎収入、Yは権利者(妻)の基礎収入

したがって、
(1140万円+38万円)☓(100+55+55)/100+100+55+55=798万円

 

義務者から権利者に支払うべき婚姻費用の分担額

Z(上記の額)ーY(権利者の基礎収入)

したがって、
798万円ー38万円=760万円
となり、これを12か月で除と、1ヶ月あたりの婚姻費用は、63万3000円となります(1000円未満は切り捨て)。

以上から、①の考え方では、婚姻費用は月額36〜38万円程度、②の考え方では月額63万3000円と、考え方の違いで大きく差がでることがわかります。

ポイントの解説をする男性のイラスト夫からすると、当然、①の考え方が有利であり、妻からすると②の考え方が有利となります。

この点については、いずれかの考え方が正しいというわけではなく、最高裁判所の判断も示されていません。

したがって、それぞれの立場に有利な主張をしていくということになります。

 

 

役員報酬の他に所得がある場合

会社経営者の場合、役員報酬だけではなく、他に所得がある場合が多く見られます。

例えば、次のような所得が考えられます。

お金のイラスト 不動産を賃貸している場合の賃料収入(不動産所得)
 株式の配当(配当所得)
 他の会社も経営している場合(他の会社からの給与所得)
 不動産の売却益(譲渡所得)
 公社債の利子、合同運用信託の収益分配(利子所得)

ポイントの解説をする男性のイラスト上記のような所得があった場合、婚姻費用や養育費は、それらの合計額で算出されるべきです。

したがって、すべての所得を調査する必要があります。

 高所得者の場合の養育費についてはこちらのページでさらにくわしく解説しています。
よくある相談Q&A「高所得者の場合、どのようにして養育費を算定すべきですか?

 

 

 

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