婚約破棄の場合の慰謝料


婚約破棄と慰謝料

486bac8857258e976b60feecf0817e7f_s結婚に先立ち、男女間で婚約を結ぶことも少なくありません。

しかし、婚約を取り交わした後に婚約を一方的に破棄された場合、破棄された側は、精神的に大きく傷つくことになります。

そればかりか、結婚のためにお金をかけて準備していたり、仕事をやめてしまっていたりしている場合には、それが財産的(金銭的)な損害となって、破棄された側に大きくのしかかってくることになります。

このような場合に、婚約を不当破棄した者に対して、慰謝料等の損害賠償を請求することができる場合があります。

 

 

婚約とは

婚約の意味

そもそも婚約とはどういったものなのでしょうか。

婚約は、男女間に将来結婚しようという合意があれば、成立します。

ですから、口約束だけでも婚約は成立します。

相手方が婚約の成立を争っている場合

相手方が婚約の成立を否定してきた場合には、当事者間で水掛け論となってしまいます。

そこで、婚約の成立を証明する客観的な証拠が必要となります。

婚約指輪のイメージ画像結納や婚約指輪の交換などの儀式は、婚約の成立を証明する一つの有力な証拠となるのです。

しかし、結納や婚約指輪の交換のような儀式を行っていない場合もあるでしょう。

そのような場合には、結婚をほのめかすメールや手紙など、できるだけ婚約が成立したことを示す証拠を集めましょう。相手が結婚を公言していた場合には、それを聞いた第三者の証言も証拠となる場合があります。

 

 

婚約破棄に基づき慰謝料が請求できる場合とは

話し合いのイメージイラスト婚約が成立すると、婚約した者は「正当な理由」もなく婚約を履行しない相手に対して、損害賠償を請求することができます。裁判所は、正当な理由の有無については非常に慎重に判断しています。

婚約破棄が正当なものとして許される例

①相手の不貞行為

②相手から虐待、暴行、重大な侮辱を受けた

③相手が結婚式直前に無断で家出して行方をくらました

④相手方に結婚式直前や初夜における社会常識を逸脱したいような言動がある

正当な理由が認められない例

①性格の不一致

②容姿に対する不満

③年まわりが悪い

④親の反対にあった

⑤好きな人ができた

⑥信仰をやめない

創価学会をやめないことを理由に婚約を破棄した事案において、「信仰の故をもつて婚姻予約を破棄することは、正当な理由ありと認め難い。」として、慰謝料100万円の支払いを認めた。

京都地裁昭和45年1月28日

⑦民族的差別に起因するもの

婚約破棄が、朝鮮人であるという民族的差別の存在に起因した迷いや躊躇からなされたものとして、不法行為の成立を認め、慰謝料150万円、購入した嫁入り道具の処分によって生じた差損約90万円等の支払いを命じた。

大阪地判昭和58年3月8日

⑧部落差別を理由とするもの

被差別部落出身であることを理由に婚約破棄を行った者に対する慰謝料請求を認めた。

大阪地判昭和58年3月28日

このような事情を理由に婚約を破棄された者は、婚約を破棄した相手方に対して、慰謝料等を請求できることになります。

慰謝料を請求できるか否かは、個別の事情により異なってきます。詳しくは、婚約破棄の専門家にお尋ね下さい。

 

 

婚約破棄について慰謝料の相場、損害賠償の範囲

慰謝料

婚約を不当に解消された場合、損害賠償の中心となるのが慰謝料です。

慰謝料のイメージイラストでは、婚約相手に婚約を不当に破棄された場合、どのくらいの慰謝料を請求することが認められるのでしょうか。

慰謝料額は、精神的な苦痛を金銭的に評価して決定するものですから、一律の額を提示するのは難しく、認められる額は人によって異なります。もっとも、慰謝料として認められたもののなかには、50万円から200万円程度のケースが多いので、これを一つの相場として見ることができます。

その他の財産的損害

そのほか、結婚式場や新婚旅行などの申込金、キャンセル料、披露宴招待状の発送費用、新居用のマンションの敷金等を請求できる場合があります。

これらについては、実際に支出した費用が、賠償額の基準となります。

 

 

第三者(婚約者の親や婚約者の浮気相手など)に対して慰謝料を請求したい

婚約者の親に慰謝料請求をしたい

悩む老夫婦のイメージイラスト婚約者の親の反対にあったために婚約を解消することになったから、婚約者だけでなく、婚約者の親に慰謝料を請求したいという場合も少なくないのではないでしょうか。

婚約の不当破棄に親が関与している場合、その親が単に反対するだけでなく、積極的に干渉、妨害してきたといえる場合には、その親に対しても損害賠償を請求することが可能な場合があります。

婚約を不当破棄した男性とその母親の共同不法行為の成立を認めた。

徳島地判昭和57年6月21日

婚約者の浮気相手に慰謝料請求をしたい

不貞行為のイメージイラスト同様に婚約者の浮気により婚約解消に追い込まれた場合、婚約者の浮気相手も許せないとして、浮気相手にも慰謝料を請求したいと考えておられる方もいらっしゃると思います。

この場合も、婚約者の浮気相手に慰謝料を請求できる場合があります。もっとも、この場合は、浮気相手が婚約相手と出かけたことがあるというだけでは足りず、婚約の事実を知っていたのに肉体関係を結んだなど、かなり悪質性の高い場合に限られると考えられます。

結婚後に婚約中の浮気が発覚した事案ではあるが、婚約中に、婚約の事実を知りながら肉体関係を結んだ者に対して、慰謝料として50万円の支払いを命じた。

大阪高裁昭和53年10月5日

 

 

相手方の責任で婚約を破棄せざるを得なかった場合

怒る女性のイメージ画像相手方に問題があって婚約を解消したいけれど、自分から解消を申し出た場合に慰謝料等を請求できないのではないかと、婚約解消をちゅうちょしている方もおられるのではないのでしょうか。

自分の方から婚約破棄を申し出る場合であっても、それが相手方の責任によるものであれば、相手方に対して損害賠償請求が認められる場合があります。

慰謝料等を請求する場合に、どちらから婚約の解消を申し出たかは重要ではありませんので、ご安心ください。

 

 

婚約を破棄する場合、後でトラブルにならないための注意点

当事者同士で婚約を解消する場合、その場では納得して婚約を解消しても、その後約束していた慰謝料が支払われない等、トラブルに発展する場合があります。

このような問題が発生した場合、基本的には裁判で争うという方法を取らなければ、慰謝料を強制的に払わせることは不可能です。

そこで、このような問題が発生するのを防止するために、婚約を解消した際の条件等を公正証書に残しておくことをおすすめします。

弁護士竹下龍之介画像強制執行認諾約款付の公正証書として、婚約を解消する際の条件を残しておくと、仮に約束した慰謝料が支払われないといった問題に直面した場合、その公正証書に基づいて、相手方に対し、裁判を起こすことなく強制執行をかけることが可能となります。

当事務所では、公正証書の作成のご相談もお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。