離婚コラム㉔ 面会交流拒否で100万円!間接強制について東京家裁が異例の判断


東京家裁は、平成28年10月4日、別居している長女と母とが月1回、面会交流を行う旨の審判に従わなかった父に対し、1回の拒否につき100万円を母に支払う方法での間接強制を認めました。

そこで、今回は、面会交流の審判及び間接強制について解説します。

 

面会交流とは?

 

面会交流は、簡単に言えば、別居している親が同居している親と会うという制度です。

最近では、子の福祉という側面が重視され、子どものための権利という意味合いが強まっています。

そのため、同居親の一方的な判断で面会交流を拒絶することは、子の福祉の観点から許されません。

 

面会交流を拒否されたらどうすればいい?

母子のイメージイラスト

では、面会交流を申し入れたにも関わらず、同居親に拒否されてしまったらどうすればいいのでしょうか。

この場合、面会交流を求める側の親は、面会交流の調停(及び審判)を家庭裁判所に申立てることが可能です。

 

1.調停

調停では、月に1回ほど期日が開かれ、面会交流についての双方の考えをぶつけ合いながら話合いを行います。

場合によっては、家庭裁判所調査官という専門家が双方及び子と面談調査を行い、面会交流についての意見を述べることもあります。

近年では、面会交流が子の福祉に反することが明確な場合等の特段の事情がある場合をのぞき、原則実施の方向で意見を述べることがほとんどと思われます。

 

すなわち、近年の家裁実務では、子と非監護親が交流を続けることが子の利益に資する点を重視し、子どもが拒否的な意思を持っていたとしても、その背景を探り、虐待などがない限り、丁寧な事実調査をする過程等で父母に葛藤を解消する協力を求め、調整活動を行い、子どもの拒否がやわらぐ方向に変化することを目指しているのです。

 

2.審判

そして、調停で、話合いがまとまらない場合は、審判に移行します。

審判とは、家庭裁判所の裁判官が、面会交流の在り方について判断するものです。

 

面会交流の審判に相手が従わない場合

冒頭の事例の場合には、父側は、面会交流の拒絶の理由として、連れ去りの危険を主張したものの、結局は「月に1回、5時間程度の面会交流を行う」旨の審判がなされました。

しかし、父側はそれに従いませんでした。このように、面会交流の審判に、同居親が従わなかった場合にとりうる手段が、間接強制です。

間接強制とは、民事執行法に基づく強制執行の一種で、裁判所が、「従わなければ金銭の支払を命じる」との決定を出すことで心理的な圧力をかけ、自発的な履行を促す強制執行の手段です。

 

間接強制

面会交流の審判の場合、間接強制で認められる額は、一般的には、数万円~10万円程度と言われています。

しかし、面会交流への抵抗が強く、かつ、同居親に資力がある場合、間接強制で決まった額を支払ってでも面会交流を拒みたいという親も一定数いるようです。

そのため、間接強制の実効性の観点から、いくらが適正なのかについては、議論になっていました。

 

母子のイメージ画像

今回、東京家裁が、父の1回の面会交流の拒否につき100万円を母に支払うという高額の間接強制を認めたことは、裁判所が、面会交流を子の福祉の点から原則実施するという近似の実務の流れに沿うものですが、その額がかなり高額であるため、話題になりました。

なお、この事例では、審判を不服とした父側が、高等裁判所に抗告しているため、判断が確定されたわけではありません。

 

しかしながら、今後は、面会交流が子の福祉に適うという視点から、実効性を担保すべく、従前より高額の間接強制を認める事例は増えることが予想されます。

引き続き、実務の動きに注目したいと思います。

面会交流については、当事務所の弁護士までお気軽にご相談ください。

 

面会交流については詳しくはこちらをごらんください。

この件について、平成29年2月8日東京高裁が30万円に減額する判断を示しております。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

 


この記事を書いた人

弁護士 竹下龍之介

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