離婚コラム㉙ 不貞行為の立証のハードル


昨今、不倫問題が世間でも話題になっております。

よく、不貞行為の慰謝料の相場は、200万円から300万円などと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

不倫(不貞行為)と慰謝料については、こちらをご覧ください。

 

困る女性のイメージイラスト確かに、不貞行為が認定されれば、それに近い額の慰謝料の支払い義務を課す裁判例が多いのは事実です。

しかし、不貞行為の認定には意外に高いハードルが設定されています。

この問題について、離婚問題専門の弁護士が解説いたします。

 

突然ですが、以下の文章をご覧ください。

 

女性から男性への連絡のイラスト女性Yから男性Aへ

「チュ」

「今電卓を叩きながらAのことを考えている。」

「もう少しだけギュウしてほしかったけれど、眠さには勝てないから」

「Hだね。バイアグラはいらないよ、私Hじゃないもん」

「血まみれになるからギュウはできないよ。終わったらして。」

 

男性から女性への連絡のイラスト男性Aから女性Yへ

「逢いたいよぅ。この間みたいにいっぱいぶちゅぶちゅしてのんべんだらりと過ごしたいよぅ。」

「え~今日こそいちゃいちゃしようと朝から楽しみにしていたのに。。。」

「金曜日いちゃいちゃできる?」

「俺の彼女はYちゃんで、Yちゃんの彼氏は俺なんだから」

 

上記のメールから不貞行為を認定できる?

スマートフォンのイメージイラスト

これらは、実際の不貞行為の慰謝料裁判(東京地裁平成24年11月28日判決)で、原告から提出された証拠のメールの一部です。

この事案は、原告である元妻が、元夫と不貞行為を行ったとして、被告の女性に対し、慰謝料を請求したというものです。

原告は、被告と元夫との間に不貞行為が存在する証拠として、親密な交際を匂わせる上記のメールを提出しました。

一般的な感覚だけでいえば、これらのメールでは、「血まみれになるからギュウはできないよ。終わったらして。」と、生理中の性交渉についてのやりとりがあったり、「いちゃいちゃ」という性交渉を思わせる表現があるなど不貞行為はあったと考える方も多いのではないでしょうか。

 

裁判所の判断

説明する男性のイメージイラストしかしながら、裁判所は、これらのメールからは不貞行為は推認できない(立証できない)と判断しています。

裁判所は、メールについて、それぞれ以下のような具体的な判断を行いました。

 「チュ」という表現

本件の文脈ではキスをしたこと前提としているが、それにより性交渉の存在までを推認させるものではない。

 「ギュウ」という表現

性的行為の存在を想起させないではないが、それ自体ではあいまいな表現というほかない。

 「血まみれ」という表現

生理中の性交渉を想像させる余地のある表現ではあるが、内容があいまない部分が残り、文脈としては、生理中に性交渉をもったというよりは、やんわりとこれを断った表現であり、これをもって性交渉があったことの確かな根拠とすることはできない。

 「いちゃいちゃ」「ぶちゅぶちゅ」などの表現

被告と原告の元夫の不適切な関係を暗示するかのようなものではがあるが、これらも上記「ギュウ」の表現と同様、その内容は曖昧であり、性交渉の存在を確かめる確かな証拠とまではいえない。

 

裁判のイメージイラストそのうえで、「これらは全体として、被告と原告の元夫の不適切な交際を想起させるようなものであり、Aの妻であった原告が、被告とAの不貞関係を疑ったことは無理からぬものであるものの、これらを総合しても、現実に被告とAが性交渉を持ったと認めることは困難であり、不貞関係の存在を認めることはできない。」として、不貞行為を認定しませんでした。

 

専門の弁護士へご相談ください

説明する男性のイメージイラストこのように、不貞行為の立証のハードルは決して低くありません。

そのため、いかなる証拠を収集するかがとても重要になります。

不倫(不貞行為)証拠の集め方について、くわしくはこちらをごらんください。

不貞行為でお悩みの方は、この問題に詳しい当事務所の弁護士にご相談ください。

弁護士へのご相談はこちらからどうぞ

 


この記事を書いた人

弁護士 竹下龍之介

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