子どもが4人以上の場合、どのようにして婚姻費用を算定すべきですか?

婚姻費用についてよくある相談Q&A

婚姻費用を算定するときは、実務上、算定表という簡易的な早見表を使っておよその額を算定します。

算定表による算定方法についてはこちらをごらんください。

この算定表は、夫婦双方の所得を当てはめて婚姻費用の適正額を算出するものですが、早見表であるため、通常の場合を想定されています。子どもの数は最大で3人までの場合しか、婚姻費用の額を確認できません。

4人兄弟のイメージイラストそのため子どもが4人いる場合、どのようにして算定すべきかが問題となります。

この場合、いくつか考え方はありますが、ここでは標準的な生活指標を用いて算出する方法をご紹介します。

この方法を理解するために、前提として、婚姻費用の標準的な算定方法を解説します。

婚姻費用の標準的な算定方法

社労士日置明男画像標準的な算定方式では、義務者・権利者双方の実際の収入金額を基礎とし、義務者・権利者及び子どもが同居しているものと仮定し、双方の「基礎収入」の合計額を世帯収入とみなし、その世帯収入を権利者グループの生活費の指数で按分し、義務者が権利者に支払う婚姻費用を算出します。

その「基礎収入」、子の生活費、義務者が支払うべき婚姻費用の額を算定する計算式は、次のようになります。

 

①基礎収入

「基礎収入」とは、
税込収入から「公租公課」、「職業費」及び「特別経費」を控除した金額であり、「養育費を捻出する基礎となる収入」のことをいいます。

総収入から、 公租公課、職業費および特別経費を控除した基礎収入の割合は、給与所得者と自営業者とで異なります。

源泉徴収票のイメージ画像給与所得者の基礎収入は、総収入の概ね 34~42%の範囲内となります。

自営業者については、給与所得者と異なり、課税される所得金額を総収入とします。課税される所得金額に対する割合を、給与所得者と同様に求めた結果、自営業者の基礎収入は、総収入の概ね 47~52%の範囲内となります。

下記の基礎収入の割合表は、ある裁判官が統計上の平均的数値をもとに作成したものであり、算定表ではなく手作業で基礎収入を算出するときの目安になります。具体的な事案に応じて修正してください。

給与所得者の場合

基礎収入=総収入×0.34~0.42(高額所得者の方の割合が小さい)

給与収入(万円)
~100 42
~125 41
~150 40
~250 39
~500 38
~700 37
~850 36
~1350 35
~2000 34

 

自営業者の場合

基礎収入=総収入×0.47~0.52(高額所得者の方の割合が小さい)

給与収入(万円)
~421 52
~526 51
~870 50
~975 49
~1144 48
~1409 47

 

②婚姻費用の計算式

権利者世帯に割り振られる婚姻費用=Z

権利者が子ども1人(15歳未満)と同居しているケースを例とします。

(Z)=(X+Y)☓(100+55(子の指数))/(100+100+55(義務者の指数+権利者の指数+子の指数))

解説図X:義務者の基礎収入
Y:権利者の基礎収入
Z:権利者世帯に割り振られる婚姻費用

義務者から権利者に支払うべき婚姻費用の分担額=Z-Y

指数についての補足説明

ポイント解説のイラスト成人の必要とする生活費を 100 とした場合の子の生活費の割合(指数)を定めます。生活費の指数化については、生活保護法第8条に基づき厚生労働省によって告示されている生活保護基準のうち「生活扶助基準」を利用して積算される最低生活費に教育費を加算して算出します。

その結果、子の標準的な生活費の指数(以下「子の指数」という)は、親を100 とした場合、年齢 0歳から 14 歳までの子については 55、年齢 15 歳から 19 歳までまでの子 については 90となります。

 

子どもが 4人いる場合の婚姻費用の算定方法

以上を前提として理解してもらった上で、子どもが4人いる場合を考えてみます。

例:義務者の年収(給与所得)が800万円、権利者の年収(給与所得)が200万円、15歳未満の子どもが4人いる場合の婚姻費用

電卓のイメージ画像権利者世帯に割り振られる婚姻費用 =(Z)

義務者の基礎収入(X):800万円 × 0.36=288万円
権利者の基礎収入(Y):200万円 × 0.39=78万円

(Z)=(288+78)×(100+55+55+55+55)/(100+100+55+55+55+55)

(Z)=278.8万円

義務者から権利者に支払うべき婚姻費用の分担額(年額)= Z – Y

278.8万円 – 78万円=200.8万円

12カ月で割ると、

200.8万円 ÷ 12か月=17.4

よって、月額17万4000円となります。

 

具体的な額については離婚に特化した弁護士へご相談を

上記の計算方法はあくまで一例です。

また、婚姻費用は双方の収入の他にも、学費、治療費等の特別の支出や住宅ローンを考慮する場合もあります。さらに、別居に至った経緯等の状況も千差万別です。

婚姻費用はあくまで離婚が成立するまでのものですが、今後の交渉に大きな影響力をもつためとても重要です。

弁護士本村安宏画像そのため具体的な額の見込みについては、離婚を専門とする弁護士へのご相談を強くおすすめします。

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