私立高校進学について、相談を受けていないのに、婚姻費用増額に応じなければならない?

婚姻費用についてよくある相談Q&A

 

悩む男性のイメージイラスト①私は、妻と別居して2年になりますが、先日、子どもの高校進学にあたり、婚姻費用の増額を請求されました。理由は、子どもが私立の高校に進学して学費がかかるからとのことです。私は、事前に妻から子どもが私立の高校に進学するということについて、全く相談を受けていませんでした。それでも、婚姻費用の増額に応じなければならないのでしょうか。

②また、別居に際しては、私が家を出て行ったため、妻と子どもが住んでいる家の家賃は私が負担しています。これは、婚姻費用において考慮されないのでしょうか。

 

弁護士の回答

説明する男性のイメージイラスト婚姻費用は、算定表を基準に算定されるのが一般的です。そして、算定表では、通常の範囲の個別的事情は表の額の幅の中で既に考慮がされているため、算定表によることが著しく不公平となるような特別な場合しか個別的事情は考慮されません。

もっとも、算定表では、公立中学・高校に通う場合を算定しており、私立学校等に通う場合は念頭に置いていません。

したがって、私立学校の進学費用は、算定表によることが著しく不公平な個別事情のひとつといえます。

そうである以上は、私立学校の学費は、婚姻費用の増額事由になりうるということになります。

説明する男性のイメージイラストもっとも、それは、子どもの私立高校への進学を両親双方が了承していた場合です。

子どもの私立高校への進学を全く聞かされていなかった場合には、妻からの婚姻費用の増額の請求が認められないこともあるでしょう。

実際に、夫に無断で妻が入学させた私立高校の入学費用について、夫は公立高校に進学させる意向を持っていたことから、公立高校の入学費用を基礎として夫の分担額を定めて、その支払を命じた審判例があります。

生活費のイメージイラスト次に、家賃についてですが、家賃は、典型的な婚姻費用の一部です。したがって、夫が妻と子どもの家賃を負担しているという場合には、算定表上の適正額から家賃の額を控除した額を婚姻費用として支払えば足りるということになります。

では、算定表上の適正額から家賃を控除せずに、婚姻費用を多めに払っていたという場合、遡って、既払いである(または返してほしい)と主張できるのでしょうか。

説明する男性のイメージイラストこの点、超過分は任意で支払っていたということになるため、遡って、既払いである(返してほしい)などの主張は、なかなか認められないでしょう。婚姻費用の適正額はあくまで目安であって、任意でそれよりも高い額を支払うことについては、全く問題ないからです。


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