離婚後、子どもの大学進学を理由に養育費を増額してもらえる?

養育費についてよくある相談Q&A

 

疑問を抱く大学生のイラスト夫とは5年前の離婚時に養育費を取り決めました。

それは支払ってもらっていますが、息子が大学に進学しています。

進学にあたり、元夫の承諾は得ていませんが、養育費を増額してもらうことはできるのですか?

また、その場合、息子の奨学金やアルバイト代は考慮されるのでしょうか。

夫の承諾を得ていない以上、難しいかもしれませんが、場合によっては認められることもあります。

裁判所の判断も分かれているのが実情です。

また、奨学金やアルバイト代についても考慮する審判例と考慮していない審判例があります。
執務中のイメージイラストこの問題について、当事務所の離婚専門の弁護士が解説します。

元夫が子どもの大学進学を承諾していた場合と、承諾していなかった場合に分けて検討していきます。

1 承諾していた場合

計算のイメージイラストまず、元夫が、子どもの大学進学を承諾していれば、大学進学費用についても一定の分担義務が生じるというのは実務において、それほど争いがないところだと思います。(とはいえ、「承諾」の認定が争われることは多いです。しかし、それは別の事実認定の問題ですから、ここでは触れません。)

大学進学費用とは、①授業料、②交通費、③テキスト代その他の費用の年間合計額を指すのが一般的です。

その分担割合は協議により定まりますが、親同士に収入がある場合は、2分の1にしたり、収入に応じて按分する方法をとることも多いです。

また、上記の年間合計額と算定表で考慮されているとされる額(15歳以上の子につき年間約33万円)との差額を協議する方法もあります。

 

2 承諾していなかった場合

 

焦る男性のイメージイラストこの場合、協議は難航することが多いです。

そして、裁判所も、当然にはその費用の分担義務が生じるとは考えていません。

 平成22年7月30日付 東京高裁決定

父親が子の大学進学を承諾していなかった事案です。

この事案において、東京高裁は「一般に、成年に達した子は、その心身の状況に格別の問題がない限り、自助を旨として自活すべきものであり、また、成年に達した子に対する親の扶養義務は、生活扶助義務にとどまるものであって、生活扶助義務としてはもとより生活保持義務としても、親が成年に達した子が受ける大学教育のための費用を負担すべきであるとは直ちにはいいがたい。」と指摘しています。

 

しかし、現在は、男女を問わず、4年制大学への進学率が高まっており、両親と同程度の教育は子に受けさせるべきという考え方が強いです。

実際、前述の東京高裁も、大学進学費用の協議にあたっては、次の要素を考慮すべきと指摘しています。

 

①大学進学費用の不足が生じた経緯、その額

②奨学金の種類、額及び受領方法

③子のアルバイトによる収入の有無及び金額

④子が大学教育を受けるについての子自身の意向及び親の意向

⑤双方の親の資力

⑥双方の親の再婚の有無、(再婚している場合には)その家族の状況

⑦その他諸般の事情

 

そのうえで、東京高裁は、学費の不足分と生活費の不足分に分けて不足分を算出しました。

 

学費、生活費の不足分の算出方法

悩む男性のイメージイラストまず、年間の大学費用から奨学金を控除し大学費用として不足分の月額を算出しました。

次に、生活費の不足分としては、養育費の月額から算定表上学費として考慮されている相当部分及びアルバイト代を控除し、算出しました。

東京高裁の判断では奨学金やアルバイト代も不足分の算定にあたって考慮されています。

詳しくは離婚問題専門の弁護士へご相談ください。

このように、大学の進学費用は、通常の養育費とは別の考慮が必要です。

詳しくは、養育費の問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめいたします。

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