養育費問題に強い福岡の弁護士をお探しの方へ
養育費とは
養育費とは、子どもが社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用です。
養育費の内容としては、子の衣食住の為の費用・健康保持のための医療費・教育費が含まれます。
子どもとは、必ずしも未成年者を指すわけではありません。
子の福祉の観点から、経済的に独立して自己の生活費を獲得することが期待できない段階にある子(例えば、重度の障がいをお持ちの方)には、養育費を支払わなければならないのです。
反対に、未成年でも、社会に出て働き、自分の稼いだお金で生活している子は、養育費を請求することはできません。
養育費は、子供の将来のための大切な権利です。
養育費の問題では、以下の点を参考に今後の見通しを立ててください。
養育費の通常の算定方法
養育費の範囲は、養育費を支払う親の生活水準と、同等の生活水準を、子が維持するために必要な範囲とされています。
養育費を算定するうえでの一般的な基準としては、裁判所がつくった養育費算定表というものがあります。
【 養育費算定表はこちら ⇒ 養育費算定表(PDFファイル) 】
養育費算定について、算定表の見方をケースでご説明します。
妻が夫に養育費を求める場合
・妻:給与所得者(前年度年収 120万0352円)
・夫:給与所得者(前年度年収 630万4821円)
・子ども:小学校(公立学校)7歳
①子どもが一人ですので、算定表の「表1養育費子1人表(子0~14歳)」 を選択します。
②権利者の年収を確認します。
表の横軸上の「給与」の欄には「100」(単位は「万円」です)と「125」がありますが、 120万 0352円というのは「 125(万円)」に近いので、「125」を基準にします。
なお、年収は、税込の収入ですので、手取り金額(所得)と誤解しないよう注意されてください。
年収は、源泉徴収票の「支払金額」欄で確認できます。年収の調べ方については、「相手方の収入を調べる」をご覧ください。
③義務者の年収を確認します。表の縦軸上の「給与」の欄には「625」と「650」がありますが、 630万 4821円というのは「 625(万円)」に近いので、「625」を基準にします。
④横軸の「125」の欄を上に伸ばした線と、縦軸の「625」の欄を右に伸ばした線が交差するのは「4ないし6万円」の枠内となります。
⑤標準的な養育費は、この額の枠内ですが、交差させた位置が幅の上方ですので、 6万円に近い額で調整することになるでしょう。
上記のように、適切な養育費を算定するためには、相手方の年収が判明していなければなりません。
また、養育費において実務上よくあるご質問については以下で解説しています。
相手方の収入を調べる
相手方の収入は離婚条件に大きく影響します。
例えば、養育費や婚姻費用は、夫婦双方の年収によって算定されるのが原則です。
一例をあげると、子どもが3人(全員14歳以下)いる世帯で、パートタイム勤務をしている妻の年収が 120万円の場合、相手方の年収が 300万円であれば、養育費の合計額は月額約 4万円から 6万円ですが、相手方の年収が 550万円の場合、 8万円から 10万円となります。
このように、養育費等は夫婦双方の年収で相場が決まってきますので、相手方の収入を把握することはとても大切です。
相手方の年収を把握しないまま、早く離婚したいとの考えから、相手方の言いなりになって養育費等を決めてしまうと、相場よりも低い金額となってしまうことがほとんどです。
養育費は、一度決めてしまうと、原則として変更はできないので注意が必要です。
すなわち、養育費の変更には、事情の変更が必要なってきます。例えば、相手方の年収が激増した、自分が身体障害となり働けなくなった、などの事情です。
サラリーマンの場合
上述したとおり、相手方の年収の正確な把握がポイントとなりますが、相手方の年収がわからないという方は多くいらっしゃいます。
相手方の年収を把握する方法としては、相手方がサラリーマンの場合、源泉徴収票を確認することがもっとも簡易な方法です。
源泉徴収票の「支払金額」の欄に記載してある金額が相手方の年収となります。
▼ 源泉徴収票の見本
上図の場合、「支払金額」欄を見ると年収が587万円であることがわかります。
また、源泉徴収票を見たことがないという方は、相手方の給与明細や給与口座の通帳でもおよその年収を把握できます。
例えば、給与明細については、1か月分でもあれば、控除前の給与を12倍すれば、ボーナス以外のおよその年収は把握できます。これにボーナス支給月(6月分や12月分)の明細があれば、ボーナスを加えたおよその年収が算出可能です。
また、給与口座の通帳については、手取額がわかります。手取額は、所得税や社会保険料等が控除されていますが、税理士や税法の基本知識がある弁護士等であれば、逆算することにより、およその年収が算出できます。
なお、年収を正確に算出する方法として、他に役場で発行する所得証明書(課税証明書ともいいます。自治体によって呼び方が異なります。)があります。
所得証明書であれば、「給与の収入金額」を見ます。「所得金額」ではないので注意してください。
ただし、所得証明書は、同居の配偶者であっても、相手方の同意(委任状)がなければ発行できません。また、裁判所を通じて、役場へ所得証明書の提出を求めても、応じない自治体がほとんどです。
所得証明書は、保育所入所申請や会社の手続等で必要となることがあり、その際に保管していた場合などに確認できることがあります。
自営業者等の場合
相手方が自営業者の場合やサラリーマンでも不動産収入等の副収入がある場合、確定申告書の控えを確認します。
確定申告書の「課税される所得金額」が基本的には養育費等の算定基礎となります(下図の㉖部分)。
上図の場合、「課税される所得金額」欄を見ると所得が 302万3000円であることがわかります。
収入金額(売上)が養育費等の算定の基礎となるわけではありませんので注意してください。
ただし、「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果ですので、その金額をそのまま養育費等の算定の基礎と考えることが妥当でない場合があります。
例えば、⑩雑損控除、⑱寡婦寡夫控除、⑲~⑳勤労学生障害者控除、㉑配偶者控除、㉒配偶者特別控除、㉓扶養控除、㉔基礎控除は、税法上の控除であり、現実に支出されているわけではありません。
また、⑬小規模企業共済等掛金控除、⑯寄付金控除は、養育費の支払いに優先すべきとは考えられないものですから、控除すべきではありません。
さらに、医療費控除、生命保険料控除については、標準的な保健医療及び保険掛金はすでに特別経費として考慮されていますから控除すべきではありません。
その他、専従者給与(控除)額の合計額も実際には支払いがなされていない場合については控除すべきではありません。
以上が自営業者の場合の所得の見方ですが、素人の方が上記のポイントを正確に押さえることは難しいと思います。
そのため、確定申告書を離婚専門の弁護士に見てもらうことを強くお勧めします。
確定申告書がどこにあるかわからない、あるいは、見せてほしいと相手方に頼んだが応じてくれない、といった方もいらっしゃいます。
このような場合、可能であれば、売上を示す資料を調べます。具体的には事業に使用している通帳や請求書などの書類です。通帳や請求書などから大まかな売上が把握できます。また、通帳の記載から経費等の一部は把握できます。
会社経営者等高所得者の養育費の算定方法はこちらをごらんください。
養育費の諸問題
ここでは養育費において実務上よくご質問がある以下の点について解説します。
養育費の支払いの開始時期

養育費は、養育費の調停申立など養育費支払請求があった時点と考えておかれてください。
すなわち、裁判例の中では、別居時からとするもの、離婚時からとするものなども少数ながらあります。
しかし、多くの判例と家裁実務は、知らずに累積した過去分を一度に請求される危険と明確性の観点から、養育費の調停申立てがあった時点を始期としています。
また、弁護士にご依頼されている場合は、弁護士が内容証明郵便等で相手方に養育費の支払いを具体的に請求した時点を開始時期と考えられます。請求の意思が明確になっており、予測可能性という点で相手方に不利ではありません。
また、必ず調停手続ということになれば請求する側に大きな負担となるからです。
養育費の終期

協議や調停での合意を行う場合、20歳までとすることが多いです。
ただし、最近は大学へ進学する子どもも多いので、大学へ進学することを条件として卒業するときまでという取り決めをされるケースも多いです。
なお、養育費について、合意が成立せず、判決などにいたる場合、基本的には20歳までとするケースが多いです。
大学卒業までの養育費が認められるのは、扶養義務者の支払能力や学歴等の社会的地位を勘案して、大学進学が通常のことと考えられている場合に限られています。例えば、父が医師である場合、小学校教員である場合などに認めた判例があります。
私立学校の授業料や習い事の費用

子どもを私立学校や学習塾等の習い事へ行かせていた場合、相手方へ請求できるかが問題となります。
算定表は、公立の学校に関する教育費は考慮していますが、私立学校等の高い教育費は考慮されていません。
そのため、相手方が私立学校への進学や習い事等を了承していたり、その収入や資産等の状況からみて相手方に負担させることが相当と考えられる場合は、相手方に一定額を加算するように求めることが可能です。
医療費

一定程度の額は請求できます。
算定表は、一般的な治療費しか考慮されておらず、特別な治療等の高額なものは考慮されていません。
そのため通常の養育費に加算して請求できます。
具体的な額については一概に言えませんが、例えば、治療費を扶養者と相手方の収入で按分し、相手方の分を加算するという方法もあります。
相手方が働けるのに無職の場合

養育費は夫婦双方の収入で算出します。したがって、相手方が働こうと思えば働けるのに、働こうとしないような場合、収入が0として算出するのは不当です。
このような場合、潜在的稼働能力があるものとして収入を推計します。どのように推計するかはケース・バイ・ケースです。
実際に多いのは、相手方が子どもを監護しており、これまで専業主婦であったような場合は、パートタイマー程度(年収100万円程度)になると考えられます。
相手方に他に認知した子どもがいる場合

認知した子どもも同等に扱われます。
したがって、子どもの人数で養育費の額を算定します。
例えば、他の女性との間の認知した子どもが1人で10歳、自分との間の子どもが2人で3歳と1歳の場合、表6「養育費子3人表(第1子、第2子及び第3子0~14歳)」を使用します。
そして、算定した養育費の額の3分の2が受け取れる養育費の額となります。
収入の増減があった場合

養育費の支払は、長期にわたることが多いので、その間に事情が変わることがあります。
例えば、支払う側の病気・失職による収入減、子の進学による教育費の増額などです。このような場合は、養育費の増減も可能です。
ただし、変更を求めるには、改めて調停等を申し立てる必要があります。後からさかのぼって、「もらっていない。」、「払いすぎていた。」などは通用しないので注意してください。
養育費の受給者が再婚した場合

基本的には支払う必要はありません。
離婚後、相手方が再婚した場合、子どもの年齢にもよりますが、通常は子どもを相手方と養子縁組します。
例えば、Aさん(夫)とBさん(妻)には子ども(3歳)がいましたが、離婚し、その後BさんがCさんと再婚したとします。
この場合、子どもに対して、まず扶養すべきは再婚相手方のCさんということになります。Aさんの扶養義務は、万一Cさんが子どもを扶養できないほど収入がない場合などに、扶養するという補助的なものとなります。
そこでAさんの養育費の支払い義務は基本的にはなくなると考えてよいでしょう。
ただし、「収入の増減があった場合」と同じように、養育費支払いの免除を求めるには、改めて調停等を申し立てる必要があります。
後からさかのぼって、「払いすぎていた。」は通用しないので注意してください。
養育費の支払い義務者が破産した場合

養育費の合意が成立した後、相手方が支払っていないうちに破産手続が開始された場合、その未払い分については、破産手続によって回収すべきこととなります。
したがって、裁判所に届出する等の手続が必要となります。
もっとも、養育費は、他の債権と異なり特別に保護されており、相手方が破産しても、免責できません。すなわち、相手方は未払い分について、支払い義務を負っていますので、破産手続が終わった後も相手方へ請求できます。
また、破産手続が終了した後に生じた養育費については、そもそも破産債権ではないので、裁判所を通す必要もありません。
以上が法律の話ですが、もし、実際に相手方が破産すると、事実上回収するのは難しくなります。破産するということは、強制執行の対象となる財産を有していないことが通常だからです。
したがって、権利は有していても、事実上支払ってもらえないということが予想されます。
養育費は、子供の将来のための大切な権利です。くわしくは、離婚問題に精通した専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。
養育費の問題点
当事務所には、養育費について、ご相談に訪れる方がたくさんいらっしゃいます。
多くの解決実績を誇る、本物の離婚弁護士だからこそ感じている養育費の問題点について、解説いたします。

養育費は、基本的には双方の年収で判断されます。また、簡易迅速に診断するために、上述した算定表もあります。
しかし、問題は「年収」を正確に判断することが難しいということです。例えば、相手方が源泉徴収票や確定申告書を開示してくれないケースは多いです。
また、相手方に副収入がある可能性もあります。例えば、不動産所得、株式等の配当などが典型です。
さらに、自営業者の場合、確定申告書の数字をそのまま所得にすべきではないケースがたくさんあります。
例えば、減価償却費などは実際に経費として支払われたものではないので、考慮すべきでありません。
年収が毎年増減するようなケースにおいては、養育費の基礎となる年収をどのように考えるかが問題となります。
年収を正確に把握しても、養育費の適正額が問題となることがあります。
例えば、養育費の支払い義務者が、相手方の居住する自宅の住宅ローンや賃料、光熱費等の生活費を負担している場合、養育費の額を一定程度、減額するのが通常ですが、どの程度減額すべきかについては、専門家でなければ判断が難しいといえます。
したがって、養育費については、養育費に精通した弁護士から助言をもらうべきです。

養育費を取り決める際、公正証書などではなく、口約束だけだった、という場合、後日、「支払ってもらえない。」「増額を要求された。」などの相談が多くあります。
この場合、「合意している。」などと主張しても、相手方から否定されると、言った言わないの争いとなり、裁判では負けてしまうことが予想されます。

離婚を決意した当事者は、相手方に対して、不信感、怒り、恐怖心などの悪感情を持っている場合がほとんどです。
そのため、養育費についても、相手方と冷静に協議することは難しいと思われます。

当事者同士での話し合いが難しい場合、家裁に調停を申立てるという方法も考えられます。
しかし、調停は、とても時間がかかります。ケースにもよりますが、通常半年から1年程度は見ていた方がよいかと思われます。
また、平日の日中にあるため、お仕事をされている方は、会社を休まなければならないでしょう。
調停手続は裁判所の運用にもよりますが、1回あたり、通常2時間から3時間程度を要します。
拘束される時間も長いため、当事者には多大な負担となるかと思われます。
プロの離婚弁護士はここが違う!当事務所の養育費問題解決サポート
当事務所の離婚事件チームは、養育費にまつわる様々なお悩みを解決するために、以下のサポートを行っています。
専門チームによる養育費の診断サービス
養育費について適正額を判断するためには、養育費に関する専門知識や家裁実務のノウハウが必要です。
当事務所では、「弁護士の専門特化」を事務所の第1の行動指針としております。
弁護士は、幅広く何でも対応するというスタンスでは、質の高いリーガルサービスを提供できないと考えているからです。
離婚相談については、離婚問題に注力する弁護士のみで構成される「離婚事件チーム」が対応させていただいております。
そして、当事者双方の年収、資産、その他の状況等から、適切な養育費の額を診断しております。
養育費の診断は、正式なご依頼を受ける前に、相談段階でお伝えいたしますので、ご安心されてください。
養育費・離婚の代理交渉
養育費の問題でもめると、家裁の調停を利用する方法も考えられます。
しかし、当事務所では、いきなりの調停申立てはお勧めしていません。
調停手続は、一般に、解決まで長期間を要します。また、相談者の方の負担も大きくなります。
そのため、当事務所の離婚弁護士は、依頼者の代理人となって、まずは相手方と交渉し、早期解決を目指します。この手法を、当事務所では、「代理交渉」と呼んでいます。
代理交渉では、養育費以外にも、財産分与、慰謝料、面会交流、年金分割等、解決すべき課題があればすべてをまとめて解決いたします。
養育費調停の申立て
適切な額の養育費を提示しているにもかかわらず、相手方が納得してくれない場合、次善の策として養育費の調停手続を利用します。
離婚問題が解決していなければ、離婚調停を申立て、その中で養育費の問題についても解決します。
養育費の問題については、年収の証明資料などを用いて、当方の主張が正しいことを説得的に調停委員に伝えます。
また、財産分与、年金分割等の問題についても、専門家としての法的見解を主張し、適切な条件で調停が成立することを目指します。
すでに離婚が成立している事案で、相手方が適切な額の養育費で納得しない場合、審判手続に移行し、裁判所の判断を示してもらうことで解決へと導きます。
養育費の問題は、専門知識はもちろん、家裁実務に関するノウハウが必要です。
養育費についてお悩みの方は、当事務所の離婚事件チームまで、お気軽にご相談ください。
