離婚調停とは【失敗しない離婚調停の10のポイントを解説】

  • 離婚調停とはどういう制度ですか?
  • 離婚調停の流れや注意することを知りたい
  • 離婚調停を有利に進めるにはどうすればいい?

デイライト法律事務所の離婚事件チームは、離婚調停に関するこのようなご相談が多く寄せられています。

離婚調停は今後の人生を大きく変えるかもしれない大切な手続です。

ここでは、離婚相談年間700件を超える法律事務所の弁護士が離婚調停に必要な知識や損をしないためのポイントについて解説いたします。

離婚調停とは

調停とは、当事者間の紛争について、裁判所(調停委員会)の仲介によって、当事者が互いに譲歩し合い、合意による解決を目指す手続です。

つまり、裁判所での話し合いです。

家庭裁判所での調停手続では、離婚そのものだけでなく、離婚後の子どもの親権者を誰にするか、親権者とならない親と子との面会交流をどうするか、養育費、離婚に際しての財産分与や年金分割の割合、慰謝料についてどうするかといった財産に関する問題も一緒に話し合うことができます。

 

 

調停委員会とは

調停事件については、裁判官(家事審判官)である1人と民間から選ばれた調停委員2人(男女1人ずつ)以上で構成される調停委員会が組織され、仲介にあたります。

そして、この調停委員が当事者双方に事情を尋ねたり、意見を聴いたりして、双方が納得の上で問題を解決できるように、助言やあっせんをします。

もっとも、実際には、裁判官はとても忙しいため、ほとんど姿を見せず、調停が成立するときぐらいしか接することがありません。したがって、通常は調停委員2人が対応することとなります。

 

離婚調停の流れ

① 申立てから第1回まで

家庭裁判所調停を申し立てると、1か月後くらいに第1回目の話し合いが行われます。

この話し合いの期日については、弁護士が代理人についている場合、事前に代理人の事務所に裁判所から連絡があり、日時を調整します。

第1回期日の日時が決まると、裁判所から相手方に調停期日の日時等が記載された通知書が送付されます。

② 第1回期日

裁判の流れまず、申立人の方から言い分を聴きます。

次に、相手方と交代して相手方から言い分を聴きます。

調停はこのようにして、相互に言い分を聴く運用がなされており、言い分を聴く際は、相手方は同席しません。

したがって、離婚調停では、当事者同士が顔を合わせることは、成立のときをのぞくとほとんどありません。

1回あたりの所要時間は、2時間程度と考えてよいでしょう。ただし、裁判所によって時間は若干異なります。

なお、平成25年1月1日に施行された家事手続法により、双方当事者の立会いが増える運用がされています。

具体的には、各調停期日の冒頭と終わりに、申立人と相手方を調停室へ呼び入れ、調停員の前で立ち会わせ、手続の説明や、次回期日までの当事者双方の課題を整理して説明することなどがなされています。

もっともこれらについては、対面を避けたい理由を説明することで、同席を免除してもらえます。

③ 第1回期日以降

裁判の流れ第1回目で調停が成立することはほとんどありません。

そのため、次回期日が決められ、また出頭することになります。

次回期日は、通常、1か月ほど後に指定されますが、裁判所の諸事情で2か月ほど後に指定されることも多くあります。

内容は、第1回目と同じで、当事者の言い分を相互に聴きながら、可能であれば調整していくというものです。

調停の回数は、ケース・バイ・ケースですが、平均的には3回~5回程度です。

 

 

手続について

管轄

管轄とは、簡単に言えば、全国各地にある裁判所のうち、どこの裁判所で調停や訴訟などの手続を行えるかという問題です。

離婚調停については、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所となります。

日本のイラスト例えば、夫婦が別居していて、相手方が福岡県、自分が東京都に住んでいるとします。この場合、自分の方から離婚調停を申し立てるとしたら、管轄は福岡の家庭裁判所となります。

夫婦が合意をすることで東京の家庭裁判所や中間の家庭裁判所(例えば、大阪など)などを管轄とすることもできます。

 

必要書類

調停を申し立てるには、次の書類が必要となります。

  •  申立書及びその写し1通
    申立書は家庭裁判所で入手できます。
    また、離婚調停の申立書については、当事務所のホームページから無料でダウンロードが可能です。
    ダウンロードはこちらからどうぞ。
  •  標準的な申立添付書類
    • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
    • (年金分割割合についての申立てが含まれている場合)年金分割のための情報通知書(各年金制度ごとに必要となります。)(*)
      (*) 情報通知書の請求手続については、離婚専門弁護士や年金事務所(厚生年金の場合)又は各共済年金制度の窓口にお問い合わせください。情報通知書は、発行日から1年以内のものが必要になります。

 

離婚調停の問題点

問題点① 時間がかかる

離婚調停の最大の問題点は、解決までに長期間を要するということです。

期間については、弁護士のスタンスや事案の内容にもよりますが、半年以上は覚悟しておいた方がよいでしょう。

財産分与や親権等でもめた場合は、1年以上かかる場合もあります。

しかも、調停は平日の日中しか開催されませんので、仕事をされている方は、調停の期日に仕事を休まなければなりません。

また、離婚事案は、通常、強い精神的ストレスが伴います。すなわち、離婚調停中は、当事者双方がそれぞれの言い分を主張し合います。

相手の一方的な主張には虚偽の内容が混在していることがあります。そして、こちら側を強く非難する内容のものもあります。

さらに、離婚調停は、「最終的にどのような結果となるのか不明」という不安定な状態におかれることとなります。

このような状況が長期間にわたって継続すると、精神衛生上よくありません。

 

問題点② 適切な解決とならない可能性がある

色々な職業のイメージイラスト調停委員会の委員について、裁判所の説明では、
「一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。
具体的には、原則として40歳以上70歳未満の人で、弁護士、医師、大学教授、公認会計士、不動産鑑定士、建築士などの専門家のほか、地域社会に密着して幅広く活動してきた人など、社会の各分野から選ばれています。」とされています。

確かに、調停委員の方の中には、人格的に優れ、良識を持った方もいらっしゃいます。

しかし、家事事件の調停委員のほとんどの方は、弁護士ではない一般の方であり、法律の専門家ではありません。

前述したように、調停員会は、裁判官を含む3名で組織されますが、裁判官は調停が成立するときしかお目にかかれません。

つまり、調停は素人の方が進行させているようなものなのです。

また、調停委員の方々は、できれば、和解を成立させようとするので、基本的には、申立人の主張と相手方の主張の中間点に落ち着かせようとする傾向があります。

例えば、申立人が慰謝料として300万円を請求し、相手方が100万円と主張していれば、200万円での解決を進めるなどです。

したがって、自分の主張が法的にいくら正しくとも、調停ではそれが認められない可能性があります。

 

問題点② 弁護士費用が割高になってしまう

弁護士バッジ離婚調停は時間、労力がかかる手続です。

そのため、調停手続を弁護士にご依頼された場合、どうしても弁護士費用が割高になってしまいます。

 

 

調停成立の見通しを立てる

明るい未来調停は、あくまで話し合いで解決する手続です。

すなわち、どれだけ時間や労力を費やしたとしても、話し合いがまとまらなければ、それまでの苦労は水の泡となってしまいます。

無駄な時間や労力を費やすくらいなら、調停を延々とやるのではなく、速やかに訴訟へ移行すべきです。

そこで、調停が成立する見込みがあるか否かについて、できるだけ早く見通しを立てることが重要となります。

その際、次の点に着目すればよいでしょう。

パートナーが愛情をもっている場合

相手方が離婚に応じない理由が養育費、慰謝料などの金銭面での折り合いがつかない場合は、調停委員会を通じて説得をしたり、自らが譲歩したりすることにより、最終的には離婚が成立する可能性が高いです。

しかし、相手方がまだあなたに愛情をもっていて、再びやり直したくて離婚に応じない場合は、説得しても応じない可能性が高く、調停での離婚成立は難しくなります。

もっとも、このような場合でも、通常の裁判基準を大幅に超えるような有利な離婚条件を相手方に提示できれば、相手方が説得に応じることもあるので、調停成立の可能性は残されています。

例えば、慰謝料の相場を大幅に超えるような額(例えば1000万円)を提示するなどです。

しかし、このような経済的な余裕が無いような場合は速やかに調停を不成立(ないしは取り下げ)にした方がよいでしょう。

そして、離婚原因があるような事案ではすぐに訴訟提起を行うべきです。

離婚原因について、くわしくはこちらをご覧ください。

他方、離婚原因がないような事案では、とりあえず別居して、長年月が経過するのを待つということになるでしょう。

現時点では離婚原因が認められなくとも、別居期間が長期化すると、離婚原因(婚姻を継続しがたい重大な事由)となるからです。

親権を争う場合

子どもの親権を双方とも主張して譲らない場合、話し合いでの解決は難しく、調停成立は困難といえます。

そこで、このような場合、調停を何回も重ねるのではなく、速やかに訴訟に移行すべきです。

また、監護者指定の審判やその仮処分等を申し立てるなども検討すべきです。

もっとも、相手方が親権を主張していても、本気で争う場合はそう多くありません。

例えば、当初、夫側が親権を主張していても、仕事への影響や母親有利の現実に直面し、あきらめざるを得ないと判断することもあります。

そこで、相手方が本気で親権を争うつもりなのかどうかを見極めることが重要となります。

離婚調停については、手続にくわしい専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

 

失敗しない離婚調停の10のポイント

離婚調停で失敗しないようにするためには、押さえておくべき10のポイントがあります。

大別すると、スピード解決のポイント、離婚条件で損をしないためのポイント、離婚調停で負担を減らすためのポイント、離婚調停を有利に進めるためのポイントです。

以下、項目ごとに解説いたします。

スピード解決のポイント

離婚調停は、上記のとおり、解決までに時間を要する傾向にあります。

そのため、少しでも早く離婚調停を成立させることが、再出発するために重要となります。

そこで、以下、スピード解決のポイントについてご紹介します。

POINT① 証明資料を早期に提出する

離婚調停の本質的な内容は、「話し合うこと」にあります。

すなわち、離婚裁判の場合、裁判所に判断してもらう(判決を出してもらう)ために訴えを提起しますが、離婚調停では、どちらが正しいか否かを確定することはありません。

離婚は夫婦の問題であることから、裁判所が判決という一刀両断的な結論を出すよりも、可能であれば、話し合いで解決した方が穏当であろうという考え方に基づくものです。

したがって、離婚調停においては、話し合いに主眼が置かれるべきです。

しかし、実際の離婚調停では、話し合いよりも、資料の準備に長時間がかかっている状況が散見されます。

例えば、収入の資料(源泉徴収票・所得証明書など)や財産目録(基準日における財産の内訳と額が記載されたもの)及びその証明資料などです。

収入の資料は養育費や婚姻費用の適正額を算定するために必要となります。

また、財産目録及びその証明資料は、財産分与の対象となる財産を確定するために必要となります。

養育費は財産分与等の離婚条件を話し合うためには、その前提として、収入の資料や財産目録が必要です。

これらが揃っていなければ、養育費や財産分与を話し合うことはできません。

そのため、離婚調停においては、これらの争点に応じた資料の開示を速やかに行う必要があります。

離婚調停の期日において、まだ資料が提出されていない場合、「次回までに収入資料の開示をお願いします。」などと調停委員を通じて相手に伝えてもらうようにしましょう。

また、こちら側も積極的に資料の開示を行うべきです。

自分は開示せず、相手にだけ開示を求めても、開示してくれない可能性があるからです。

遅かれ早かれ開示しなければならない資料については、第1回の期日前に裁判所と相手方に送付するなどしておけば、第1回期日において、調停委員に対して「こちらは既に開示しているので、相手にも速やかに開示するように伝えてください。」と伝えることが可能です。

こちら側としては、すべてオープンにしており、誠実に調停手続に参加している姿勢が伝わる可能性があります。

 

POINT② 主張は期日前に書面で提出する

離婚調停においては、当事者双方がそれぞれの言い分を主張しながら、手続きが進んでいきます。

離婚裁判の場合、主張書面(裁判では「準備書面」といいます。)については、通常の場合、期日の約1週間前に提出する運用がなされています。

そして、裁判の期日までに、裁判官はもちろん、相手の代理人弁護士もその提出された主張書面に目を通しておき、期日に臨むというのが基本です。

このような運用がなされているのは、裁判を効率的に進行させるためです。

すなわち、言い分については、事前に書面で作成して、提出しておくことで、裁判所や相手に検討する時間を与えることができます。そして、その言い分を踏まえて、次回反論したり、協議することが可能となります。

離婚調停の場合、この「事前の提出」や「書面作成」というのは義務化されておらず、期日の当日に口頭で主張しても構いません。

しかし、スピード解決を考えるのであれば、離婚裁判と同様に、できるだけ事前に、かつ、書面で主張内容を提出しておくべきです。

特に、分析や検討するために時間を要する内容については、早ければ早いほど良いでしょう。

例えば、財産分与が争点となっている事案において、特有財産があるという主張を行うとします。

財産分与は、原則として、基準日における夫婦双方の名義の財産が対象となりますが、特有財産については、その対象から外れます。

特有財産としては様々なものがありますが、例えば、親から遺産相続を受けた場合、当該遺産は財産分与の対象とはなりません。

離婚調停の期日において、次の主張を行ったとします。

具体例 親から遺産相続を受けた場合の主張

「預貯金500万円のうち、100万円は遺産なので特有財産となる。」


この場合、その期日では、通常、話し合いにはなりません。

なぜなら、相手としては、あなたの口頭でなされた主張を鵜呑みにはできないからです。本当に預貯金が500万円なのか、また、500万円あったとして、100万円の遺産相続があったのかを確認し、妥当性を検討する時間が必要となるからです。

これに対して、早い段階で、財産目録を提出し、その証明資料(預貯金の残高を示す通帳の写しや遺産分割協議書などの資料)を提出しておくと、相手は事前に確認し、かつ、検討することが可能となります。

そうすることで、離婚調停の期日においては、相手から「財産分与として、200万円を請求したい。相手の言い分のとおり、相手の財産は400万円だとすると、その2分の1はもらう権利がある。」などの具体的な要求がなされるでしょう。

また、こちらとしても、相手の要求に対して「200万円は高額なので150万円であれば応じる」などの意見を述べることができます。

このように、離婚調停の期日前に、双方が言い分や根拠を確認できれば、その言い分を前提として、話し合うことが可能となるのです。

したがって、スピード解決のために、主張については、可能であれば事前に、かつ、書面の方が良いといえます。

 

POINT③ 親権争いは早期に調査官をつける

離婚調停において、親権についての争いが激しい場合、家裁調査官が関与し、子供の意向調査や監護状況の調査を行う可能性が高いと思われます。

調査官の調査が実施された場合、親権についての意見等が記載された調査報告書が作成されるのが通常です。

調査報告書に記載されている調査官の意見は、離婚裁判においても影響力を持つと考えられます。

そのため、調査報告書を見て、一方が親権を諦めることで、親権についての協議がまとまる可能性があります。

なお、調査報告書の親権への影響の度合いについて、くわしくはこちらのページをご覧ください。

カレンダーしたがって、親権の争いがある事案においては、調査報告書が早い段階で作成されることによって早期解決の可能性があるといえます。

しかし、調査報告書はすぐには作成できません。調査官が選任され、調査報告書が出来あがるまでの期間は概ね3ケ月から6ヶ月ほどを要すると思われます。

そのため、親権の争いがある事案では、早い段階で(第1回の期日など)、調査官の選任を希望するとよいでしょう。

調停委員会は、すべての事案に調査官をつけることはありません。

調査の必要性がある事案に限って調査官をつけるため、離婚調停の初期段階において、調停委員会の方から調査官をつけることは稀です。

そのため、当事者の方から積極的に調査の必要性について意見を述べた方がよいと思われます。

 

 

離婚条件で損をしないためのポイント

POINT④ 適切な離婚条件についての見通しを立てる

長い道のり離婚調停では、離婚の他に、様々な離婚条件を話し合います。

一つ一つの離婚条件に応じる前提として、その条件が適切であることについて理解できなければなりません。

そのため、離婚条件について適切な見通しを立てることが重要となります。

検討すべき離婚条件は、子供の有無や夫婦の状況によって異なりますが、離婚、親権、面会交流、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割、婚姻費用の8つの項目を検討すれば、一通り網羅できるでしょう。

以下、各項目ごとのポイントについて解説いたします。

 

 

離婚が認められるか否か

離婚については、当方が離婚を望んでいる(相手は離婚に消極的)、相手が離婚を望んでいる(当方は離婚に消極的)、双方とも離婚を望んでいる、の3つのパターンが考えられます。

このうち、双方とも離婚を望んでいる場合であれば、特に問題はありません。

しかし、当方が離婚を望んでいる場合と、相手が離婚を望んでいる場合については、仮に、離婚調停が不成立となって離婚裁判となったとき、裁判所が離婚を認めてくれるか否かについて検討しておくべきです。

なぜならば、例えば、当方が離婚を望んでいる場合で、離婚裁判となったときに離婚が認められない事案の場合、離婚調停が不成立となることは、「離婚できない」ことを意味します。

その場合、離婚調停では、離婚条件に関して相手に有利な条件を提示してでも、離婚調停を成立させたほうがよいといえるでしょう。

逆に、相手が離婚を望んでいる場合で、離婚裁判では離婚判決が認められない事案であれば、離婚調停において、こちら側に多少有利な条件を提示してもよいと思われます。

離婚届と印鑑このように、離婚裁判において離婚が認められるか否かは、離婚調停における交渉の優位性に影響してきます。

したがって、離婚が認められるか否かについてはよく検討しておくべきです。

では、どのような場合に離婚が認められるのでしょうか。

民法は、離婚について、次の5つの場合(「離婚原因」と呼ばれています。)に該当する場合に限り、離婚裁判を提起できると規定しています(770条1項)。

5つの「離婚原因」
  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

したがって、上記に該当するか否かを検討することとなります。

また、裁判では、相手がこちら側の主張を否認することがあります。

したがって、該当する事実があるかに加えて、立証可能性についても検討すべきです。

上記の離婚原因についての具体例や詳しい解説についてはこちらのページをご覧ください。

 

親権はどうなるか

親権とは、わかりやすくいえば、子供と一緒に生活したり、子供の財産を管理したりできる権利をいいます。

日本においては、共同親権が認められておらず、離婚の際に、夫婦のいずれか一方を親権者としなければなりません。

親権については、かつて、「子供が幼い場合は母親」、というのが当然のように思われていました。

しかし、近年、父親であっても監護者として相応しい場合や、母親でも親権者として不適格な場合があり、父親でも親権を取得する事案が出てきております。

すなわち、現在、親権の判断は様々な事情を総合的に考慮して判断されているといえます。

例えば、裁判例において、実際に考慮されている事情としては、以下のようになります。

裁判例において、考慮される事情
父母の側の事情

監護に対する意欲と能力、健康状態、経済的・精神的家庭環境、居住・教育環境、子に対する愛情の程度、実家の資産、親族・友人等の援助の可能性など

子供の側の事情

年齢、性別、兄弟姉妹関係、心身の発育状況、従来の環境への適応状況、環境の変化への対応性、子自身の意向など

なお、親権について、具体的な判断基準や親権と勝ち取る方法についてこちらのページに詳しく解説いしています。

 

面会交流

面会交流とは、子供を監護していない親(非監護親といいます。)が定期的に子供と面会することをいいます。

面会交流は、通常の場合は、頻度としては月に1回程度となることが多いようです。

また、子供を監護している親(監護親といいます。)の方から「面会交流させたくない」と主張されるケースがありますが、面会交流は子供の福祉の観点から判断されるものであり、基本的には会わせなければなりません。

面会交流が制限されるのは、例えば、DV案件などに限定される傾向です。

ただし、DV案件などについても、子供の受け渡し等に第三者機関を利用する等によって、実現させる方向にいくことが望ましいと考えられます。

面会交流の頻度や方法は、子供の年齢や親との関係、居住地(近隣か遠方か)、その他の状況によって、異なることがあります。

面会交流について方法、制限される場合、実施時の注意点などについて当事務所では詳しい解説ページを掲載しています。

面会交流について、くわしくはこちらもご覧ください。

 

養育費はいくらが適切か

養育費とは、非監護親が監護親に対して支払うもので、子供の生活のための費用をいいます。

養育費については、親の生活水準と同等の生活水準を子供が維持するために必要な費用と考えられており、具体的には、親の収入の状況と子供の数によって、基本的な養育費の額が決まります。

この基本的な養育費の額については、算定表という早見表によって確認することが可能です。

当事務所は、ホームページ上に養育費算定表を掲載しております。養育費をお知りになりたい方はこちらからごらんください。

養育費において注意しなければならないのは、算定の基礎となる収入の調査と、特別支出の評価についてです。

すなわち、いずれかの親が自営業者であったり、給与所得者でも副収入があったりする場合、基礎収入を正確に把握することが難しくなります。

また、子供が大学に進学する場合や、私立の学校に通っている場合、算定表によって算出される養育費に一定程度加算すべきであると考えられます。

なぜならば、養育費は、公立学校の授業料を基に考案された早見表であって、私立学校等の場合の学費については考慮されていないからです。

当事務所では、養育費の収入の調査方法や養育費の計算方法について、ホームページで解説しておりますので、確認されたい方はこちらのページをご覧ください。

 

財産分与

財産分与とは、結婚してから夫婦で築いてきた財産を離婚の際に分ける制度のことをいいます。

財産分与の適正額を出すために、まず、対象となる財産を漏れなく調査することがポイントとなります。

例えば、現金、預貯金、不動産、保険(解約返戻金)、株式等出資持分、貴金属等の高価な動産、退職金、自動車などが典型的な財産となります。

相手が資産を隠していたり、浪費していると、不当な財産分与となってしまう可能性があるので注意が必要です。

また、財産分与においては、不動産、株式等の時価が変動する財産については適切に評価することがポイントとなります。

例えば、自宅不動産がある場合、固定資産税の評価額をもとに財産分与を行う事案が散見されますが、これは誤りです。

すなわち、不動産については、価値を正確に表すものは時価(取引価格)です。

もちろん、当事者双方が固定資産税の評価額の意味を理解した上で合意していれば問題はありませんが、通常、固定資産税の評価額は、時価よりも大幅に低額であることが多いため、損をしてしまうリスクがあります。

このようなリスクを回避するためには、専門家に相談の上、進めていくことが望ましいと考えられます。

さらに、財産分与においては、特有財産がある場合、その主張と立証を行うべきです。

例えば、結婚前から取得していた財産や、結婚後のものでも親から遺産として相続した財産、親から贈与を受けたものは特有財産として、財産分与の対象から外れる可能性があります。

親からの贈与として多いケースは、自宅の購入資金として頭金を援助してもらったような場合です。

この場合、自宅の評価において、援助金が一定程度考慮される可能性があります。

当事務所では、財産分与について、調査方法、基礎知識、問題点等について詳細に解説した情報を掲載しています。

財産分与について詳しくお知りになりたい方はこちらのページをご覧ください。

 

慰謝料の有無と額

離婚慰謝料とは、相手の有責行為によってやむを得ず離婚となった場合の精神的苦痛に対する賠償金をいいます。

離婚の慰謝料においてポイントとなるのは、慰謝料が発生するか否かという問題と、仮に慰謝料が発生したとして適正額(相場)がいくらかという問題です。

慰謝料が発生するか否か

離婚の慰謝料は上記のとおり、相手の有責行為によって離婚した場合に発生します。
相手の有責行為としては、浮気・不倫や暴力などが典型的なものとしてあげられます。
他にも、働かない、モラハラ、親族との不和、性交渉に応じない、借金、など、有責性となりうる様々なケースが考えられますが、実際には浮気・不倫や悪質な暴力の場合でなければ、請求は難しい場合が多いと思われます。
また、離婚の慰謝料については、立証の可能性を検討すべきです。
浮気・不倫や暴力について、相手が事実関係を否認した場合、立証できなければ慰謝料が認められないからです。

慰謝料の相場

慰謝料は、精神的な苦痛を金銭に評価するものであり、具体的な状況によって異なるため、明確な基準はありません。
不貞行為を原因とする離婚慰謝料の場合、一般的に200万円から300万円程度が多い傾向です。
もっとも、悪質な場合、高額な慰謝料を認める裁判例もあるので、詳しくは専門家にご相談されることをお勧めいたします。

当事務所は、離婚の慰謝料について、算定要素や諸問題について詳しい解説ページを掲載しています。

離婚慰謝料について詳しい解説はこちらのページをご覧ください。

 

年金分割はどうなるか

年金分割とは、離婚する際、夫婦が加入していた厚生年金(かつての共済年金を含む。)の保険料給付実績のうち、報酬比例部分について、多い方(多くは夫)から少ない方(多くは妻)へ分割する制度です。

したがって、基礎年金部分は対象外とされています。

また、分割対象は保険料給付実績なので、離婚時にお金を支払うという制度ではなく、将来、受給できる年金に影響が出る制度です。

年金分割年金分割は、「上限が50パーセント」とされています。

しかし、裁判となると、ほとんどのケースで50パーセントの分割が認められる傾向にあります。

ただし、離婚調停の段階は話し合いによる解決を目指すので、ケースによっては50パーセント以下で解決できる可能性もあり得ます。

実際に、当事務所では、50パーセントより少ない割合で解決した事例もあります。

こちらからどうぞ。

年金分割についての詳しい解説についてはこちらのページをご覧ください。

 

婚姻費用はいくらが適正か

婚姻費用とは、生活するために必要な費用のことをいいます。婚姻費用は、通常は収入が少ない側(多くは妻側)が収入が多い側(多くは夫側)に対して請求します。

婚姻費用が問題となるのは、離婚を決意して別居したときが多いです。また、別居していなくても、家庭内別居の場合に請求する場合もあります。

婚姻費用は、上述した養育費と似ている制度ですが、婚姻費用は離婚が成立するまで(又は別居を解消するまで)であるのに対して、養育費は離婚後に子供のために支払ってもらうという点で異なります。

婚姻費用 養育費
請求できる期間 離婚するまで
又は
別居を解消するまで
離婚後、基本的に成人するまで(事案によっては大卒まで)
扶養義務の対象 相手(配偶者)、子供 子供
傾向 養育費よりも高額になる
支払期間は一時的
支払期間が長期化する

婚姻費用の適正額は、養育費と同様に、基本的には双方の収入や子供の数によって算定されます。

そのため、まずは相手の収入について調査が必要となります。

また、特別な支出がある場合は通常の婚姻費用に加算の可能性があるため注意が必要です。

さらに、婚姻費用の場合、通常の婚姻費用より減額できる場合があるので注意しなければなりません。

婚姻費用を減額できるケース
相手が居住する住宅ローンを負担しているケース

夫名義で自宅を購入して住宅ローンを支払っている状況において、夫が妻子を自宅に残したまま別居するパータンが典型例です。この場合、夫は妻から請求されると、婚姻費用の支払い義務が発生しますが、夫が妻が居住する自宅のローンを負担していることから、一定程度婚姻費用を減額できる可能性があります。

相手が浮気・不倫をしていた場合

相手が有責配偶者の場合、婚姻費用を減額できる可能性があります。これは、有責配偶者が婚姻費用を請求することが信義則に反すると考えられているからです。

もっとも、婚姻費用は配偶者だけではなく、子供の生活費も含まれています。

そのため、権利者(婚姻費用を請求する側)が有責配偶者の場合でも子供を監護している場合、婚姻費用が0円となることはありません。

当事務所は、婚姻費用について、算定方法や減額できる場合など、詳しい解説を掲載しています。くわしくはこちらもご覧ください。

 

POINT⑤ 離婚調停の条項は吟味する

裁判離婚調停において、当事者間である程度、合意内容がまとまると、最終的には調停条項が作成されます。

調停条項には、離婚の他に、上記で解説した親権、面会交流、養育費等の諸条件が記載されています。

調停条項は、裁判所が案を作成することも多いのですが、相手に代理人弁護士がついている場合、相手が作成することもあります。

したがって、いずれの場合も、調停条項は内容の適否について吟味すべきです。

なぜならば、離婚調停は、成立すると、その合意内容を覆すのは困難だからです。

特に、財産分与や慰謝料などが条項に記載されている場合、こちら側に不利になっていないか注意してください。

また、面会交流については、実施方法等が適切かも確認すべきです。

弁護士をつけずにご自身だけで離婚調停を進める場合、記載内容の意味がわからないこともあると思われます。

そのような場合は、調停委員に対して質問するなどして疑問点を解消した上で、合意すべきです。

 

 

離婚調停で負担を減らすためのポイント

離婚調停は、協議離婚と比べると、当事者の負担が重くなりやすいというデメリットがあります。

しかし、以下のテクニックを使うと、負担を減らすことが可能です。

POINT⑥ 電話会議を活用する

離婚調停の管轄は、上記のとおり、相手方の住所地が管轄となります。

したがって、例えば、本人が福岡に居住していても、相手が北海道に居住している場合、離婚調停のために、北海道の家裁まで出向かなければなりません。

しかし、2013年に家事手続法が改正され、当事者が遠方に住んでいて調停等を行う家庭裁判所まで出向くことが困難な場合、電話会議によって、調停に参加できるようになりました(家事事件手続法258条1項、54条)。

もっとも、電話会議での参加の可否は、裁判所が決定するので、必ず実施できるとは限りませんが、利用が認められた場合、遠方に住んでいる当事者の方は、お近くの裁判所に出向くことで、参加できます。

なお、弁護士に依頼されている場合、その弁護士の法律事務所の電話を使って調停に参加できます。

そのため、当事務所では、電話会議を積極的に活用しています。

なお、離婚調停の場合、電話会議を利用する場合であっても、離婚が成立する場合、基本的には当事者本人が裁判所へ出頭することが求められています。

したがって、すべての期日を電話会議とすることはできません。

 

POINT⑦ 開始の時間差をつける

離婚調停は、1期日あたりの所要時間が2時間から3時間程度を要するため、拘束される時間が長いというデメリットがあります。

しかし、離婚調停の開始時間に差を設けることで、拘束時間を短縮できる可能性があります。

すなわち、離婚調停は、基本的に当事者双方から話を聞くことはありません(※)。

※第1回期日においては、手続きの流れの説明のため同席の可否について調停委員から質問されることがあります。

時間まず、一方から話を聞いて、次に交代して話を聞くということの繰り返しです。

したがって、当事者双方を同じ開始時刻に呼び出す必要性は低いといえます。

そのため、当事務所では、第1回の期日から、30分程度の時間差をつけてもらうよう家裁に上申しています。

このような方法によって無駄な拘束時間を短縮しています。

 

POINT⑧ DV事案の要領

DV事案は、被害者が加害者である配偶者との接触に強い抵抗感があるため被害者に対する適切な配慮が必要な事案です。

家裁もDV事案には配慮してくれるので、事前にDV事案であることや配慮してほしいことを伝えることで、負担が大幅に減少できるでしょう。

例えば、DV事案で配慮を要請する内容として、次のものがあげられます。

DV事案で配慮を要請する具体例
待合室の配慮

通常の待合室とは異なる待合室を準備してくれます。
例えば、福岡家裁の場合、通常待合室は3階にありますが、DV被害者の方は別階に待合室を準備してくれます。
また、通常当事者が調停室へ移動しますが、調停委員が別階の待合室まで移動してくれます。

遭遇しないための配慮

家裁への出頭時間に差を設けてもらうなどで、相手と遭遇しないように配慮を要請できます。
例えば、相手の出頭時間を10時、被害者側の出頭時間を10時30分とすると、家裁の駐車場や1階ロビーで遭遇しないようにできます。

同席免除の要請

離婚調停では、第1回期日の際の手続きの説明や、離婚成立の場合の調停条項の確認は、同じ調停室での同席したまま実施します。
DV事案の場合、調停委員に申し出ることで、同席せずに実施することが可能となります。

 

 

離婚調停を有利に進めるためのポイント

POINT⑨ 調停委員を味方につけたほうが良い?

離婚の相談においては、よく「調停委員を味方にした方がいいですか?」という質問を受けます。

確かに、調停委員は、ケースによっては一定の影響力があると思いますが、それよりもご自身の言い分を主張することの方が大切だと思われます。

調停委員は職務として立会しているのですから、遠慮する必要などありません。

また、離婚調停における調停委員は、上記のとおり、法律の専門家ではないため間違ったことを伝えることがあります。

話し合い例えば、財産分与が争点となっている事案で、ある家裁において、調停委員が「自宅の評価は固定資産税の評価額だ」と断言しました。

弁護士が同席していたので、時価によるべきだと反論しましたが、それでも「固定資産税の評価額」の1点張りです。

最終的には裁判官に入ってもらい、間違いを正しましたが、このようなことは決して珍しくありません。

また、離婚調停は、話し合う場であって、どちらが正しいという判断をする場ではありません。調停委員も判断権を持っているわけではありません。

したがって、調停委員には、敬意を持って接するべきですが、「見方につけよう」など考えず、主張すべきことは主張した方が良いと考えます。

 

POINT⑩ 養育費の権利者側は婚姻費用を早期に確定する

養育費と婚姻費用の違いは上表のとおりです。

上表からは婚姻費用は、あくまで一時的なものであって、それほど重要ではないようにも思えます。

しかし、婚姻費用は養育費やその他の離婚条件に影響を及ぼす可能性があるため、妥協せず、適正額を主張すべきです。また、生活に影響を及ぼすため、婚姻費用は早期に確定すべきです。

財産例えば、婚姻費用の適正額が月額10万円、養育費の適正額が月額7万円だったとします。

婚姻費用について、早期に確定させていれば、養育費については適正額を支払ってもらいやすくなります。

相手としては、毎月10万円を支払うぐらいであれば、月額7万円の方が安くなるため適正額で合意した方が得策だからです。

なお、婚姻費用については、離婚調停とは別に、婚姻費用分担調停の申立てが可能です。

婚姻費用の権利者側(婚姻費用をもらう側)は、離婚調停を申立てる際、同時に申し立てればよいでしょう。

婚姻費用の調停申立書については、当事務所のホームページから無料でダウンロードが可能です。ダウンロードはこちらからどうぞ。

 

 

まとめ

離婚調停で後悔しないためには、手続の概要、流れ、問題点、失敗しないポイントを把握して、適切に進めていくべきです。

このページは、離婚調停について豊富な経験がある弁護士が執筆しているので、他のサイトと比較して情報量は多いと思われます。

しかし、離婚調停は、具体的な状況によって、取るべき戦略が異なります。

解説については、あくまで参考程度として、くわしくは離婚専門の弁護士へ相談されることをお勧めします。

離婚調停や離婚全般に関して疑問点などあれば、当事務所の離婚事件チームまでお気軽にお問い合わせください。

ご相談の流れについては、こちらをご覧ください。

 

 


なぜ離婚問題は弁護士に相談?良い弁護士の見極め方とは…?