母子(父子)家庭への公的扶助
特に離婚して母子家庭になった場合、経済的に苦しい状況に陥ってしまうことは多いでしょう。
経済的に苦しい方を守る、救うために国や自治体では、母子家庭や父子家庭が受けられる公的援助を設けています。
市区町村役場や福祉事務所などに問い合わせを行い、公的援助を利用することは重要な事柄です。上手に活用し、苦しい生活から脱却しましょう。
公的援助は、市区町村によって異なり、また、政策によって流動的なものもありますので、詳細は市区町村役場の窓口に問い合わせをして下さい。ここでは目安として記載させて頂きます(平成26年10月末現在)。
なお、当事務所では、離婚後の生活に対する不安を解消していただくために、下記の公的扶助や必要な手続等を解説した「幸福のためのしおり」を相談者の方に無料で進呈しております。
目次
児童扶養手当
これは離婚等の場合に子どもを養育する母(父)に対し、支給される手当です。
いわゆる「母子手当」と呼ばれていたものですが、法改正により父親であっても受給可能となりました。
子どもが18歳に到達して最初の3月31日(年度末)まで(子どもが特別児童扶養手当を受給できる程度の障害にある場合、20歳に到達するまで)の間、受給できます。したがって、高校を卒業するまでは受給できるものです。
なお、離婚が成立していなくても、相手方配偶者から引き続き1年以上遺棄されている場合も受給できます。具体的には別居して、相手方に生活費(婚姻費用)を請求しても、支払ってもらえず、別居から1年が経過したような場合です。
また、DV被害が深刻化する中、平成24年8月の法改正で、裁判所からのDV保護命令が出た場合も受給できるようになりました。
支給額は、養育者の所得や子供の数によって異なりますが、目安として、全部支給の場合をご紹介します。
手当の月額(平成27年4月以降)
【全部支給の場合】
児童1人:月額4万2000円
児童2人:月額4万7000円
以後、児童が1人増えるごとに月額3000円追加
支給額は物価等により毎年見直しがありますので、詳しくはお住まいの市町村役場の窓口までお問い合わせください。
支給の時期
手当の支払いは、4月、8月及び12月の3期に、それぞれの前月までの分が支払われます。(例)8月分の手当は、4月~7月分の手当が支給されます。
児童手当
中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に対し、支給される手当です。概要は次のとおりです。
所得制限額未満である者
3歳未満…各月額15,000円
3歳以上小学校修了前(第1子・第2子)…各月額10,000円
3歳以上小学校修了前(第3子以降)…各月額15,000円
中学生…各月額10,000円
所得制限額以上である者(特例給付)
中学校修了前…各月額5,000円
※所得制限額
例えば、子どもが1人の場合は、子どもを養育育てる方の660万円(年収だと875万6000円以上が目安)、2人の場合は698万円(年収だと917万8000円以上が目安)です。
ただし、離婚の事案ではこの所得制限額以上となるケースはほとんどありません。
支給の時期
原則として、毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までの手当が支給されます。(例)6月の支給日には、2~5月分の手当が支給されます。
特別児童扶養手当
これは身体や精神に障害のある20歳未満の児童について、支給される手当です。前述した児童扶養手当とは別の目的に基づいて支給されるものですので、併給が可能です。
支給条件
・1級(重度)=療育手帳A・身体障害者手帳1、2級
・2級(中度)=療育手帳B・身体障害者手帳3級または4級の一部
※手帳がなくても該当する場合があります。くわしくは最寄りの役場へお問い合わせください。
・所得が一定未満であること。
※所得要件は厳しくなく、ほとんどの世帯では受給可能ですが、計算が複雑なため最寄りの役場へお問い合わせください。
・児童が、児童福祉施設等(通園施設は除く)に入所しているときは受給できません。
手当の月額(平成27年4月以降)
1級(重度)=該当児童1人につき5万1100円
2級(中度)=該当児童1人につき3万4030円
支給の時期
手当の支払いは、4月、8月及び11月の3期に、それぞれの前月までの分が支払われます(11月は当月までの分)。
就学援助
これは、経済的理由によって、就学困難と認められる児童等に対して、市町村が学用品費、給食費、通学費などを援助する制度です。
援助の条件や内容等は自治体によって若干異なるため、くわしくは最寄りの自治体にお問い合わせください。
なお、例として、福岡市の場合を紹介します。
要件(一例)
前記の「児童扶養手当」を受給していることなど。
支給費目及び支給額
【一例:小学校1年生の場合】
・給食費:実費
・学用品費:1学期7230円
・入学準備金:2万0470円
・修学旅行費:実費(上限2万1190円)
母子福祉資金
これは20歳未満の子どもを扶養している母子家庭に対し、就学、就職、事業開始、医療介護などに必要な資金の貸し付けを行う制度です。
利子と償還(返済)期間は、貸付金の種類によって異なりますが、無利子や低金利で資金を借りられ、3~20年で返済を行います。
借り入れの条件等について、くわしくは最寄りの役場へお問い合わせください。
その他
公的扶助としては、上記が主要なものとなりますが、その他にも税の減免、医療費助成等があります。お住まいの地域によって援助の内容が異なるため、くわしくは最寄りの自治体にお問い合わせください。
当事務所は、すべての弁護士がファイナンシャル・プランナーの資格を保有し、離婚後の生活設計を含めたきめ細やかなサポートを行っています。

