熟年離婚

熟年離婚をお考えの方へ

熟年離婚とは、結婚してから20年以上を経た夫婦が離婚することを指します。

2005年にテレビドラマ「熟年離婚」が話題になったことや、年金分割制度が改正されたことが後押しとなって、近年、熟年離婚の件数は急増しています。

熟年離婚にあたっては、離婚後の生活を安心して暮らせるかどうかが最大のポイントになります。

離婚後、安心して暮らすためには、「離婚までの周到な準備」「財産分与の確保、年金分割など法制度の活用」が必要で、複雑な手続きを要するものもあります。

ここでは熟年離婚について、いくつかのキーワードをもとにご説明いたします。

ご不明な点などございましたら、まずはお気軽にご相談下さい。

 

熟年離婚と年金

3f23b368d43401dcd09378f096685e06_sここ30年で約6倍に増えた50代・60代の熟年離婚ですが、2007年4月・2008年4月に段階的に年金分割制度が改正されたことで、さらに加速しているといわれています。

前述の通り、熟年離婚の後、年齢のために再就職が困難となるケースは多く、安定的な収入として年金が確保できるかどうかはとても大きな問題となります。

年金分割にあたっては、結婚してからの年金受給期間がどれだけあるか、また、2008年4月以降の結婚期間がどれだけあるか、という2点がポイントとなります。

まず、2008年4月以前に納付した年金については、厚生年金や共済年金の報酬比例部分に限って分割の対象となり、夫の名前で納めた年金のうち、妻が受給できるのは最大2分の1までです。また、この分配の割合の決定にはお互いの合意が必要となります。

そして、2008年4月以降に納付した年金については、(専業主婦だった期間に限られますが)夫の厚生年金の保険納付実績を自動的に2分の1に分割することができます。

離婚後の生活プランを立てる上では、以上のような年金分割制度をしっかり理解する必要があります。当事務所では年金分割制度の利用や、分割比率の引き上げについてのご相談を承っています。どうぞお気軽にご相談下さい。

 

 

熟年離婚と財産分与

1b0a93b08a69bb03de9cbd8a53606d88_s上記の年金分割によって得られる年金だけでは生活できない方は多いかと思われます。その赤字補填という意味でも重要となってくるのが離婚に伴って受け取る「財産分与」といえるでしょう。

一般的には、離婚の意思を固めた後に考えることが多いようですが、再就職が難しい熟年世代の離婚においては、この財産分与でいくら受け取れるのかが離婚の可否を左右すると言っても過言ではないでしょう。まずは、夫婦の共有財産をしっかり把握しましょう。

共有財産で代表的なものとしては、以下のようなものがあります。

チェックのイメージイラスト 不動産
 預貯金
 生命保険
 有価証券など
 会員権
 車
 その他高価品
 退職金

自分の共有財産として認められるものがどれだけあるのかを一度洗い出し、その内、自分が受け取れる財産の割合がどれだけになるのかを把握しましょう。

ただし、財産によっては事前の調査や、分配の割合を検討する必要が出てきます。また、その財産の受け取り方や選別に関しても最も良い方法を検討する必要があるでしょう。

財産分与に関してご不明・ご不安な点があれば、まずはご相談ください。

 

熟年離婚と相続

熟年離婚をして、一人もしくは新しい相手との生活を選んだ時に問題になってくるのが葬儀や相続の問題です。葬儀に関しても、相続に関しても、残された人たちに自分の希望を伝えるために遺言を書いておくことをお勧めします。

葬儀

c35edfa497e9798dd667a174f9fa68a4_s葬儀に関しては、費用の捻出方法、葬儀方式などを事前に遺言として残しておくことが残された方々にとって親切といえるでしょう。また、自分が希望される方法で見送られることや、周囲に迷惑をかけないことは本人の意にも沿うのではないでしょうか。

 

相続

相続に関して遺言を残すことで、本人の意に沿った形での遺産分割ができるメリットや、残された方々の間での争いを回避できるメリットを実現することができます。

特に、熟年離婚を経ている方については相続時の問題が複雑化することが考えられます。

子供がいる人と再婚した場合、非嫡出子などの相続人がいる場合、離婚相手が再婚した場合など、どのような相続を行うべきか考慮に入れる必要があるでしょう。

遺言の作成や、相続に際しては専門家のサポートを受けるのが確実です。ご不明な点などありましたらご相談下さい。

相続について詳しくは、相続特化サイトをご覧ください。

 

熟年離婚の事例

ここでは、熟年離婚のさまざまな事例をご紹介致します。

事例1 退職金の使い道を勝手に決められた妻Aの事例。弁護士に相談した結果、退職金相当額約2000万円を離婚給付とする合意をして離婚が成立した。

 

状況

悩む女性のイメージイラスト結婚当初から夫の女性問題に悩まされてきたAさん。Aさんの夫は一部上場企業に勤めていたが早期退職を決意し、2000万円以上の退職金を得ることとなった。

しかし、夫は退職後の生活についてAさんに相談することなく決めていたことがあり、それは自宅を処分したお金と退職金で新たな事業を始める計画だった。

Aさんが夫に子供たちの生活をどうするつもりなのか詰め寄ると、「金は全部俺のもの」との一点張りで、不倫のことも認めた上で「お前には何も苦労をかけていない」と開き直った。

弁護士の関わり

弁護士は急いで退職金債権について裁判所に仮差押命令の申し立てを行い、決定を得た。

退職金支給日まであまり日数がなく、もし機を逃していれば結果は変わっていたかもしれない。

一方、夫も代理人として弁護士を立てたが、不倫の事実や子供の存在を突かれたこともあり、要求を呑んだ上で離婚せざるを得なかった。

結果、Aさんは退職金相当額約2000万円を離婚給付として受け取ることとなり、これを第2の人生の元手にして新たな生活に踏み出した。その後、事務所へ挨拶に来た際には、相談時には考えられないほどの明るい表情を見せていた。

ポイント

説明する男性のイメージイラストこの事例では、夫の退職金支給日まであまり日数がなかったため、とにかく急いで仮処分を申し立てるということが従業です。

もし、弁護士の対応が遅ければ、Aさんが2000万円を受取るのは困難となっていたでしょう。

このような緊急性を要する事案では、迅速な事件処理、フットワークの良さが専門家に求められます。

 

事例2 氏名不詳の女性と不倫している夫のせいで結婚生活が破綻した妻Bの事例。弁護士に相談した結果、相手の女性を特定し、裁判を経て慰謝料を支払ってもらった。

 

状況

悩む女性のイメージイラスト結婚して20年目で子どもはいないBさん。これまで、夫との仲は円満だったが、最近、夫の出張が増え、帰宅も遅くなる等、怪しい行動が見られだした。

携帯電話を調べたところ、知らない女性から不倫をうかがわせる内容のメール(一緒に一泊旅行に出かけたことを示す内容)が送信されていた。

Bさんは、メールを写真撮影し、それを夫に見せて女性との関係を問いただしたが、夫は「知らない。」の一点張りだった。このことがきっかけで、夫婦仲は悪化し、夫と離婚を前提とした別居生活を送ることとなった。

Bさんは、夫との離婚を決意しており、相手の女性には賠償を求めたいと考えている。

弁護士の関わり

弁護士は、弁護士会照会により、携帯電話会社に対して、メールの送信者の氏名、住所情報を照会し、不倫相手を特定した。

不倫相手の女性に手紙を送り、面談したが、女性も不倫関係を否定した。そこで、夫と相手女性に対し、訴訟を提起したところ、裁判では不倫関係が認められ、被告には慰謝料の支払いが命じられた。

Bさんは、相手の女性から慰謝料の支払を受けることができた。また、何よりも、公正な法廷の場で不倫関係を明らかにできたことに対して大変喜び、感謝した。

ポイント

この事案では、不倫の相手が不明かつ不倫(肉体関係)の事実を直接証明する証拠がありません。このような事案では、弁護士会照会等を用いて相手を特定することができます。

日本の裁判では、慰謝料だけでは、それほど高額とはなりません。しかし、この事案で不倫の事実が認められることの意義は単に賠償を得るだけではないのです。

第1は、Bさんの感情という経済的価値以外のものです。夫と相手女性は、不倫でBさんの気持ちをボロボロにしたのに、誠心誠意謝罪するどころか、不倫などしていないと反論しています。これに裁判で勝ったときのBさんの喜びはとても大きなものでした。

説明する男性のイメージイラスト第2に、不倫の事実が裁判で認められたので、これから別居が続いたとしても、夫からの離婚請求は相当長期間が経過しないと認められないでしょう。すると、Bさんは、別居中であっても夫から婚姻費用として、毎月一定の額を受け取り続けることができるのです。

離婚したとしても、子どもがいないため、養育費を受け取れないBさんにとって、この婚姻費用はとてもありがたいものです。

 

事例3 夫の女性関係が原因で離婚にいたった事例。

 

状況

悩む女性のイメージイラスト会社の重役である夫が会社の部下にあたる女性と不倫していることが発覚したCさん。

Cさんは、夫に女性と別れるよう要求したが、夫の不倫は止むことなく、家を出て、月額20万円の生活費を送金するようになった。

別居生活が2年続いたところで、Cさんは弁護士に相談した。

 

弁護士の関わり

弁護士は、離婚調停を申立てた。その結果、Cさんは、自宅と現預金3000万円を財産分与として取得した。

また、Cさんは、年金分割により、夫が将来受給する厚生年金の50パーセントを取得し、かつ、厚生年金基金についても、受給額の20パーセント相当額を各受給の都度妻に支払う旨の合意をして離婚が成立した。

ポイント

説明する男性のイメージイラストこの事例は、夫の有責性が認められ、かつ、資産もあったことから、Cさんに有利に交渉できるものでした。

また、年金分割制度をうまく利用したため、Cさんは将来的にも十分な年金給付を受けることが可能となりました。

厚生年金基金等のいわゆる3階部分は、年金分割の対象とはならないため、財産分与の対象として処理することになります。

注:上記の各事例はあくまで一例です。対処の方法や結果は個々の具体的な事案によって異なります。

 

 

熟年離婚の注意点・ポイント

熟年離婚で特に注意しなければならないのは、離婚後の経済的生活基盤を確保できるかどうかです。特に女性はある程度の年齢を重ねていると再就職が非常に困難になるケースが多く、生活していくだけの安定的な収入を得られるかどうか、じっくり考えなければなりません。

 

離婚後の生活と現状把握

ノートにメモをするイメージ画像

まずは現在の生活と、離婚後の生活の違いを現実的に考えた上で、収入がどれだけ変わるのか、生活費がどれだけ変わるのか、自分はどれだけの変化まで譲歩できるのか、を書き出してみましょう。

そして次に、果たして自分は生活をしていけるだけの経済的生活基盤を持っているのか、また、どのようにすれば生活基盤を確保できるのかを考える必要があるでしょう。

具体的には、「年金分割」、「財産分与」といった制度の利用のほか、実家・子供・友人と暮らすことも考慮に入れて、離婚後の生活からできるだけ不安をなくす努力をしなければなりません。

不安を軽減し、安心して離婚後の生活を営むためにはどのような手順を踏めばよいのか、その重大な問題を考えるに当たっては、経験豊富な専門家に相談することをお勧めします。

 

 

熟年離婚の方法

説明する女性のイメージイラストどちらか一方が離婚を申し出たあとにたどる道筋はいくつか考えられます。

話し合いの末に復縁(調停委員の復縁案への同意を含む)

 協議離婚

 調停離婚

 裁判離婚

一般的には、まずは夫婦の間で離婚についての話し合いをして、協議離婚を目指します。そして、当事者間での話し合いによる合意が無理であれば、次に家庭裁判所に調停を申し立てて「調停離婚」を目指します。

調停が不成立となった場合には、さらに訴訟提起をして「裁判離婚(和解離婚を含む)」を目指すという順になります。

 

 

熟年離婚を進める上でのポイント

しかし、熟年離婚においては、なるべく多くの離婚給付を受けられるかどうかが離婚後の生活を左右しますので、一般的な道筋をたどる前に、まず、周到な準備が必要となります。

前述の年金分割についてしっかり把握しておくことや、財産分与を間違いなく受けるための財産保全をしておくことなど、やらなければならないことがいくつもあります。

離婚の手続き、財産の保全に関する申し立て等について、一度法律家に相談することをお勧めします。

 

熟年離婚における専門家の選び方

あなたが熟年離婚を考えているなら、一人で考えずに専門家に相談することをお勧めします。

相談先としては「弁護士」のほかに「離婚カウンセラー」や「行政書士」などの存在があり、それぞれに強みを持っています。

専門家を選ぶ上での基準としては以下のようなものが挙げられるでしょう。

熟年離婚に関する経験が豊富であるか

取り扱いメニューとして離婚を取り扱っている専門家は多くいますが、離婚、特に熟年離婚に関する経験が豊富な専門家は少ないものです。

事前の調査や、質問によって頼れる専門家なのかを確かめましょう。

 

ある程度年齢を重ねており、人生経験が豊富であるか

熟年離婚についてアドバイスを求める際に、若い専門家が相手では経験の伴わない机上の空論になってしまうことも仕方がありません。

ある程度年齢を重ねた相談相手を選ぶことで、より現実的で納得感のあるアドバイスを受けやすくなるでしょう。

 

裁判等を起こすこととなった場合に代理行為ができるか

離婚相談の受け手として近年増加している「離婚カウンセラー」や、離婚案件を取り扱う「行政書士」などの専門家がいますが、離婚問題が裁判所に持ち込まれた時、代理人となれるのは「弁護士」だけです。

自分が離婚を決意したときにどのような道筋をたどるのかを考えた上で相談先を選びましょう。

相続に関する知識が豊富であるか

熟年離婚が成立することになり、次に自分が亡くなった後のことを意識される方が多いかもしれません。

自分の希望や、残された人のことを考えると、熟年離婚と相続はセットで考えるべきだと考えます。

離婚に関する相談と同時に、相続のことも一緒に考えてくれる専門家を選ぶのが得策といえるでしょう。

 

ご相談の流れについては、こちらをご覧ください。