離婚コラム㊲有責配偶者からの離婚請求に応じるべきでしょうか?

有責配偶者からの離婚請求について

離婚請求に関する質問です。 離婚請求に関する質問です。

夫から、突然、離婚を切り出されました。

突然のことだったので、怪しいと思い、探偵・調査会社を入れ夫の行動を調査したところ、夫の浮気が発覚してしまいました。

夫には失望して、一気にさめてしまいましたが、夫だけが幸せになるのは許せません。

こんな私は離婚に応じなくてはならないのでしょうか。

私が離婚相談を受けていると、よくこのような相談がよせられます。

一般的には、弁護士としては、以下のような回答を行うでしょう。

あなたが、離婚に応じたくないのであれば、離婚に応じる必要はありません。

というのも、浮気をした夫は、法律上は有責配偶者といいますが、有責配偶者からの離婚請求は、判例で厳しく離婚が制限されているからです。

具体的には

①長期間の別居
②未成熟子(手がかかる子)がいないこと
③離婚したことで、妻が過酷な状況に陥らないこと

弁護士が要件となっています。

そして、①長期間の別居の一つの目安は10年です。

したがって、夫からの離婚請求を裁判所が認めることはありませんので、安心してください。

しかし、私は、この回答は、単なる判例の紹介や離婚訴訟の見通しを説明したにとどまるものであり、真の問題解決にはつながらないのではないかと考えています。

確かに、法律上、判例上は離婚が認められないかもしれません。

しかし、事例のようなケースで悩んでいる方は、そのような夫と離婚しないで、本当にいいのでしょうか。

上記の事例のようなケースでは、妻が離婚に同意しないとなると、夫が次にとる行動は、別居というのが一般的です。

弁護士バッジつまり、離婚しなくても、夫は出ていってしまいます。

ここで、「夫婦には同居義務があるため、そのような有責配偶者からの別居は認められないのではないですか?」と言われることがあります。

確かに、民法752条は、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と規定しています。

しかし、この義務は、法律で強制されるものではありません。

家庭裁判所の調停においても、夫婦の同居の調停という制度自体はあります。

この同居の調停は、不調に終わった場合、審判(裁判官が判断すること)に移行します。

もっとも、同居を裁判所が強制するということは、現在はほとんどありません。

というのは、同居というのは、憲法上の居住移転の自由に関する問題です。

憲法22条は、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転……の自由を有する」と規定しています。

法律というのは、憲法に反することはできません。

そこで、法律の解釈も憲法に反しないように行う必要があります。

そのため、現在、裁判官が、同居義務に基づき同居を強制する審判を下すことはほとんどないのです。

したがって、有責配偶者の夫が、家から出ていくことを止めることはできないのです。

悩む女性こうなると、夫婦関係は、形骸化の一途をたどります。

ここで、考えてもらいたいのですが、質問者さんのように「夫だけが幸せになるのは許せない」といった理由で、その夫に拘るのは、人生に大きな損失をもたらすのではないかということです。

人の気持は、一度離れると戻ることはありません。戻ったとしても、それは絶対に我慢が伴っており、いつかは破綻します。

有責配偶者の問題を扱うたびに、(特に不貞をされた被害者である配偶者の方に対して思うことですが、)人生の貴重な時間が奪われていてもったいないなと思います。

それよりは、そのような夫はさっさと見限り、自分の人生を一刻も早く取り戻す方が良いのではないでしょうか。

時間は有限です。

有責配偶者からの離婚請求といえど、例えば、10年間の別居があれば、裁判所は離婚を認めてしまうでしょう。

その10年間を、離婚の問題に費やすより、自分の人生を充実させるために費やした方が有意義なのではないでしょうか。

もちろん、これは全くの私見です。

私のスタンスとして、離婚したくない方に積極的に離婚をすすめることはありません。

有責配偶者から離婚を求められた方は、感情的になられて、ともすれば視野が狭まっている方も少なくありません。

視野を広げるお手伝いとして、上記の私見をお話させていただくことはあります。

しかし、最終的決断するのは、依頼者の方自身です。

依頼者の方にとって、真の問題解決とはどこにあるのか…それを一緒に考えていけたらという思いで、日々、依頼者の方に向き合っています。

弁護士竹下龍之介このように、有責配偶者からの離婚請求の問題は、法律論では解決が難しい分野の一つで、こういった分野は、依頼者の方と弁護士の相性が非常に重要です。

有責配偶者で離婚したいという方も、有責配偶者から離婚請求されたという方も、弁護士のスタンスや方針をよく聞いて、納得したうえで、ご依頼するようにされたら良いのではないかと思います。

弊所には、有責配偶者からの離婚請求の問題に詳しい弁護士が在籍しておりますので、こういった問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 


この記事を書いた人

弁護士 竹下龍之介

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