離婚・男女問題関連の法改正・最新判例情報【離婚弁護士が解説】

法律は改正される場合があります。

また、判例についても、法律と同等に実務上重要となります。

ここでは、離婚・男女問題に関する法改正の動向や最新判例についてご紹介しています。

 

 

再婚禁止期間の短縮

掲載日:2016年5月30日
法律のイメージ画像

民法が改正され、再婚禁止期間が、原則として、100日になります。

現行の民法733条では、女性の再婚禁止期間を離婚後6ヶ月と規定していますが、それを100日間に短縮する民法改正案が、平成28年5月24日に、衆議院本会議で可決されました。

参議院に送られ、今国会で成立する見込みです。

再婚禁止期間が見直されるのは、明治31年の制定以来の改正となり、100年以上続いていた夫婦の在り方が変わることになります。

 

現行法とその問題点

ポイントの解説をする男性のイラスト民法772条では、出産時期が結婚から200日経過後であれば現在の夫の子、離婚後300日以内であれば前夫の子と推定すると規定しています。

これを嫡出推定(ちゃくしゅつすいてい)といいます。

再婚禁止期間は、この嫡出推定が重ならないように設けられた規定です。

この趣旨からすれば、再婚禁止期間が6ヶ月である必然性はなく、100日あれば重複は避けられることになります。

 

最高裁判例

裁判のイメージイラストこのような主張が最高裁判所でも認められ、再婚禁止期間のうち100日を超える部分について、合理性を欠いた過剰な制約であり違憲である旨の判断がなされていました。

また、この判例には、「子の父が誰なのか争いが起きないことが明らかな場合には、再婚禁止期間の適用はないというべきだ」とする裁判官6人の補足意見がついていました。

このような経緯のもとで、補足意見にも配慮し、再婚禁止期間についてのルールが見直されることになったのです。

 

民法改正で再婚を認められる場合はどう変わるのか

IMG_1594上記のとおり、従前は6ヶ月であった再婚禁止期間が、原則として100日に短縮されます。

さらに、妊娠能力がないと医学的に証明できる女性の場合には、再婚禁止期間がゼロになります。
(これは、民法733条の再婚禁止期間をもうける趣旨からの帰結です。)

具体的には、子宮を摘出した、高齢で妊娠しないことが生物学上明らかな場合です。

適用時期等については、今後の動向に要注目です。

 

 

児童扶養手当が増額されます!

掲載日:2016年5月23日
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平成28年8月より、児童扶養手当の額が最大2倍になります。

現在、政府が掲げている「出生率1.8」の達成に向け、子育てへのサポートを充実させる趣旨です。

 

児童扶養手当とは?

離婚した後の行政上の扶助として、児童扶養手当があります。

役所手続のイメージイラスト児童扶養手当とは、父母の離婚や死亡などによって、ひとり親となった現在は、1人目の子どもについて、月(最大)4万2330円が支給され、子どもが増えるにつれ2人目は月5000円、3人目以降は3000円が加算されています。

 

改正の概要

ポイントの解説をする男性のイラスト平成28年5月2日、児童扶養手当の支給額を増額し、ひとり親家庭を経済的支援を強化する法律が成立しました。

これは、ひとり親家庭を支援するもので、所得の低いひとり親家庭に支給する児童扶養手当について、2人目以降の支給額を最大で2倍に増やすものです。

なお、2人目の支給額が増えるのは、1980年以来とのことなので、四半世紀ぶりの大改正です。

新法は、平成28年8月に施行され、実際の運用としては、12月に支給(8月〜11月分)される分から増額されることになります。

具体的な増額後の額としては、1人目の子どもについては変わりないものの、2人目について月1万円、3人目以降は6000円と倍増になります。

 

改正の注意点

ポイントの解説をする男性のイラスト手当の金額は、収入によって異なります。満額が支給されるのは子ども3人世帯の場合で、年収227万円未満の場合です。

そこから、年収に応じて減額され、460万円を上回る場合には、支給されなくなります。

なお、年収には、非監護親から受給している養育費の8割程度が加算されますので、注意してください。

その額については、原則、自己申告です。

 

今後の動向

弁護士竹下龍之介画像手当は、現在4ヶ月に1回の支給ですが、家計のやりくりの観点から毎月支給が望ましいという意見を受け、同法案の附帯決議において、「支給回数について隔月支給にすること等を含め、所要の措置を検討すること」と盛り込まれました。

今後の動きに要注目です。

 

 

再婚禁止期間の問題~最高裁で違憲の判断~

掲載日:2016年4月13日
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平成27年12月16日、「離婚した女性は6カ月間再婚できない」とする民法の規定は憲法違反だとして、女性が国に損害賠償を求めた裁判で、最高裁は、この規定の100日を超える部分は「憲法違反」とする判断を示しました。

日本では、民法により、女性は、原則として、前婚の解消又は取消しの日から6か月間は結婚することができないと規定しています。

この法の趣旨は、父性推定の混乱を防ぐものであり、以下の例外があります。

・前夫の子を懐胎している時は、出産の日以降
・再婚相手が前婚の解消又は取消し相手の場合
・夫が失踪宣告を受けた場合
・夫の生死が三年以上不明のために、裁判離婚した場合

上記については、父性推定の混乱が生じることがないので、結婚を許しています。

この法律は、女性だけに再婚禁止期間を設けているため、女性を差別しており、法の下の平等(憲法14条)に違反しているという指摘がありました。

この問題について、最高裁は、父性推定の混乱を防ぐためであれば、「6か月」という期間は不必要であり、「100日」で十分と判断し、違憲としました。

この最高裁判決を受け、国は、「早急に民法改正を行う」との政府方針を表明しています。

また、戸籍事務の運用改善により、民法改正前でも、離婚後100日超の人からの婚姻届を受理することを検討する方針を明らかにしています。

 

 

夫婦同姓問題~最高裁が合憲の判断~

掲載日:2016年4月13日
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平成27年12月16日、夫婦同姓問題(結婚の際に夫婦別姓を認めず、同姓にすることを義務付けている民法の規定が憲法に違反するか)の裁判で、最高裁は合憲とする初の判決を言い渡しました。

当事務所は、離婚事件を数多く扱っています。

この問題について、離婚弁護士の視点から、考察したいと思います。

離婚後に旧姓に戻ることへの抵抗

日本の民法は、「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」と定め、夫婦同姓を義務付けています。

法律上は、夫でも、妻でもどちらの氏でもよいとなっておりますが、現実には、夫の氏を選択する方がほとんどです(調査結果では96%が夫の氏を選択)。

現在、日本では、夫婦の3組に1組が離婚すると言われております。

そうすると、妻の約3分の1の方が離婚する際、旧姓に戻るか、それとも夫の氏を使い続けるかで悩まなければなりません。

離婚事件は、夫に対する嫌悪感など、感情的になられていることが多いので、多くの女性は離婚とともに旧姓に戻りたいと考えます。

ところが、結婚して長期間が経過していると、夫の氏の方が社会的に通用しているケースが多く、そのような場合、女性の多くは旧姓に戻ることに抵抗を感じます。

例えば、会社で夫の氏を使用しているため、旧姓に戻すと離婚したことが他の人にわかってしまうため、これをおそれて夫の氏を俗称されることもあります。

このようなお悩みは、子どもがいるケースでは深刻です。

例えば、子どもが小学生くらいの多感な時期の場合、母が旧姓に戻り、子どもも母の旧姓に変更すると、子どもが友達から中傷されてしまうケースが考えられます。

そのような場合、子どもは深く傷つき、情緒不安定となることもあります。

このような問題の発生をおそれ、小学生くらいの子どもがいる事案では、旧姓に戻りたくても戻せないというケースが散見されます。

最高裁判決は、「結婚の際に氏の変更を強制されない自由」は憲法で保障された人格権にあたるとは言えないと指摘し、夫婦が同じ名字を名乗ることは社会に定着しており、「家族の呼称を一つに定めることは合理性が認められる」と判断しました。

世論も、判決に賛成的な意見が多く、難しい問題と思います。

しかし、上記のシングルマザーのようなケースを多く見ている弁護士としては、何らかの立法上の解決がなされることを期待しています。

なお、この夫婦別姓を巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)が1996年、結婚の際に夫婦同姓か別姓かを選べるようにする「選択的夫婦別姓制度」を導入すべきだと答申しています。

しかし「親と子で姓が異なることになるのは子供にとって好ましくない」などの反対論も多く、現在、法改正はなされていません。

 

 

外国に住む親との面会交流(テレビ電話システム)

掲載日:2015年10月7日
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外務省は、今年6月、国際結婚が破綻したために、子どもが日本、親が外国と、離れて生活することになった親子間の面会交流で、インターネットを利用したテレビ電話で面会交流をすることができるシステムを導入しました。

両親が合意すれば、自宅で、個人のパソコンやスマートフォンを利用して面会交流を行うことも可能になります。

平成26年4月、日本においてもハーグ条約が発効したことから、外国で生活する親が、日本で生活する子どもとの面会交流を希望した際、外務省に面会交流の援助申請をすることができるようになりました。

ハーグ条約についてはこちらからどうぞ。

実際に、昨年度の面会交流援助申請は69件ありましたが、日本で子を監護している親がDV被害者である等の事情で、面会交流を実現することが困難なケースもみられたとのことです。

このシステムは、子どもを連れて日本に帰国した親が、面会交流を希望する側の親から婚姻中DVを受けていた場合など、直接の面会や立ち会いが当事者間で不可能な場合を想定しています。

面会交流中の親子の会話は、第三者(家庭問題情報センター(FPIC)などの面会交流支援機関)がモニタリングし、面会交流をしている親の側から、現在子どもを育てている親に対する悪口等不適切な発言があった場合には、通話が遮断されます。

面会交流は、基本的には離れて暮らす親子が定期的に交流することによって、子どもの利益になるものですが、DV事案の場合や両親間の感情的な対立が深い場合などに、当事者間でうまく実施することができず、面会交流調停などの紛争となってしまうことは少なくありません。

面会交流をテレビ電話で行うというシステムは海外にもあまり例がないということですが、子どもに負担を与えることなく、面会交流を実現することができるシステムとして、国内の面会交流でも導入される余地もあります。

実際の運用状況を注視していきたいと思います。

 

 

ストーカー規制法・DV防止法改正

掲載日:2015年10月7日
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先月26日、改正ストーカー規制法と改正ドメスティックバイオレンス(DV)防止法(配偶者暴力防止・被害者保護法)が、国会で成立しました。両改正法とも今月上旬にも公布される見通しです。

改正ストーカー規制法においては、拒む相手に電子メールを繰り返し送信する行為についても、「つきまとい等」に加えたことが、今回の改正の最大の柱です。公布の20日後から施行されます。

現行法では、電話やファックスを送る行為を規制しているものの、電子メールの送信は直接的には規制の対象とされていなかったため、時代に合っていないのではないかという批判がありました。

また、昨年11月に神奈川県で起きた、女性刺殺事件では、元交際相手だった加害者男性が、事件前に1400通以上の電子メールを送りつけていたにもかかわらず立件が見送られていたこともあり、保護対象の拡大を求める声が高まっていました。

メールやFAXなどのイメージイラスト他の改正点としては、従来は、被害者の居住地の警察・公安委員会しか出せなかったつきまとい行為の禁止命令や警告を、加害者の居住地やストーカー行為があった場所の警察・公安委員会も出すことができるようになりました。

さらに、警察や公安委員会に対して、被害者へ、加害者に警告を出した場合はその旨の速やかな通知、警告しなかった場合はその理由を書面で通知することを義務付けました。

本年10月から施行予定です。

改正DV防止法においては、法律の適用対象が同居の交際相手に広がりました。

来年1月に施行される見通しです。

女性を騙す男性のイメージイラストこれまで同法の適用対象は同居の夫婦間などに限定され、交際相手からDVを受ける、いわゆるデートDVのケースについては、接近禁止などの保護命令などで救済することができませんでした。

しかし、内閣府の調査では、10代~20代の頃に、交際相手からデートDVを受けたことがあると答えた人の割合は、女性の14%、男性の6%となっており、深刻な被害状況となっています。

また、一昨年11月には、長崎県西海市で、元交際相手から暴力を受けていた女性の親族が、元交際相手から刺殺されるといういたましい事件も起きています。

もっとも、先日起きた伊勢原市女性刺傷事件の加害者のような、離婚した元夫は適用対象に含まれていないうえ、保護命令の有効期間(6ヶ月)についても改正は行われていないことから、今後さらなる改正が待たれます。

警察庁によると、平成24年に把握されたストーカー被害は前年比36%増の1万9920件、加害者の摘発も同87%増の1855件で、いずれもストーカー規制法施行後、過去最多を記録しています。

監視される女性のイメージイラストまた、内閣府が平成23年に行った調査では、配偶者からDVを一度でも受けたことがあると答えた人の割合は、女性の33%、男性の18%にものぼっているとのことです。

今回の法改正が、つきまとい行為やDVで苦しむ方々の救済へ向けた大きな一歩となることを期待したいです。

 

 


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