再婚・養子縁組を理由に養育費を減額することはできますか?

男性私は、妻との間にできた2人の子どもの養育費として月額40万円(1人当たり20万円)を支払うことに合意し、調停離婚をしました。

その後、私は再婚をし、再婚相手の子を養子縁組したため、養育費の減額を申し立てようと考えています。

私は医療法人の代表として、医師の仕事に従事しているため、月額40万円を支払うこと自体は可能ですが、再婚さと養子縁組は養育費の減額事由になると思います。

減額は認められますか?

 

 

この質問について、弁護士がお答えします。

 

事情変更があるとして合意内容等を変更するための要件

六法全書民法766条第3項は、すでに合意した内容や裁判所による審判の内容を変更できる場合として、「必要があると認めるとき」と規定しています。そのため、「必要があると認めるとき」とは具体的にどのような場合であるかが問題となります。

これは以下の3つの視点でみるとわかりやすいです。

まず、合意、もしくは審判の内容を維持することができない状況が生じている必要があるため、①事情の変更があること、が1つ目の要件となります。

次に、例えば親権者となった母が再婚し、新たな男性が子の扶養を開始した場合のように、実の父が養育費を支払う必要性が低下することがありえます。したがって、②養育費支払義務を変更する必要性があること、が2つ目の要件となります。

なお、養子縁組と養育費との関係については、こちらからどうぞ。

最後に、故意に収入を減少させたり多数の養子縁組を行ったりすることで、養育費の支払義務を不当に免れることがあっては、信義則に反します。したがって、③養育費支払義務を変更することが相当であること、が3つ目の要件となります。

まとめると、以下のとおりです。

チェック表①事情の変更があること

②養育費変更の必要性

③養育費変更の相当性

 

 

実際の審判例

この問題について判断した例として、熊本家裁平成26年1月24日決定が参考になります。

これは、上記の相談者と同様、養育費を月額40万円支払うと合意した後、自身の再婚、養子縁組をきっかけに、養育費の減額を申し立てた男性の審判例です。

当該審判例では、養育費の減額事由たる再婚や養子縁組があったことを①事情の変更があったものと認定しています。

しかし、いったん調停で合意をして養育費を定めた者が、努力をしさえすれば1人当たり月額20万円を支払うことは可能であるとして、この努力をせずして減額を認めることは相当ではないとして、養育費の減額を認めませんでした。

裁判所この事例では、養育費を払っていた者が再婚や養子縁組をしたとしても、元妻の子が養育費を必要とする状況が変わったわけではありません。

したがって、②養育費が変更(減額)される必要性が認められないと判断されたと考えられます。

また、減額を申し立てた元夫が努力すれば、従前の合意内容を履行することも可能であるとして、努力をしないことは③養育費変更の相当性の要件も満たさないと判断されたと考えられます。

 

当該審判のその後

裁判官なお、上記の争いは高等裁判所に持ち越され、そこでは、減額が認められました(福岡高裁平成26年6月30日決定、判時2250号25頁)。

高裁では、元夫の生活状況は大きく変更していることを重くみて、上記結論となったようです。

もっとも、前述の3要件に照らせば、疑義がないわけではないので、減額が認められるかの判断は慎重になされなければなりません。

 

 

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