婚姻費用を算定する際に育児休業手当は収入に含まれますか?

婚姻費用についてよくある相談Q&A

男性現在、妻と別居をしております。妻とは10年前に結婚し、5歳と生後3ヶ月の子どもがいます。

私の年収は約400万円です。妻も以前は仕事をしておりましたが、現在は育児休業を取得しているため会社からの給料はありません。

しかし、雇用保険の育児休業給付金として月々10万円ほど手当てを受けております。

婚姻費用を算定する際に、育児休業給付金は妻の収入として加算されるのでしょうか。

 

 

弁護士の回答

このご質問に対し、当事務所の離婚弁護士が回答いたします。

結論としては、原則として、育児休業給付金は妻の収入に含まれると考えられております。

 

婚姻費用とは

婚姻費用とは、夫婦が結婚生活を送るために必要な全ての費用のことを指します。

婚姻費用の詳細、算定方法については、こちらをご覧ください。

算定方式、算定表とは

婚姻費用の分担額算定については、従前から家庭裁判所において独自の算定方式を確立して、これに基づく運用がされてきました。

しかし、従前の算定方式は計算が煩雑であり結果を予測することが難しい等の問題点がありました。

そこで、婚姻費用の算定をより簡易化し迅速な算定を実現することを目的として、東京家庭裁判所及び大阪家庭裁判所の各裁判官が中心となり、新たに算定方式が策定され、これに基づいて算定した結果を使いやすいように表でまとめた算定表が発表されました。それ以来これが全国の家庭裁判所において広く活用され実務上定着しました。

お金と電卓算定方式は、婚姻費用の算定を簡易化し、迅速な算定を実現するために、義務者・権利者の双方の実際の収入金額を基礎として、これから公租公課、職業費及び特別経費等の標準的な割合を控除し、これに義務者・権利者・未成年者等の標準的な生活費を指数化してこれに基づき按分するという方法で作成されています。

そのため、婚姻費用を算定する際には、まず、権利者と義務者のそれぞれの給与等の収入を確定しなければなりません。収入額を計算する際には、実際の収入から公租公課、職業費及び特別経費等を控除し「基礎収入」を確定させます。

権利者の収入が無い場合

「0」とする場合は、権利者が無職で収入がなく、かつ、自身の健康状態や監護養育している子どもが幼かったり、病気等のため、仕事について収入を得ることができない場合です。

生活保護の場合

生活保護費についても、生活保護制度の趣旨に照らして、収入として考えられていません。

すなわち、上記のような場合でない限り婚姻費用の分担義務を負うことになります。その際には、潜在的稼働能力があるものとして、賃金センサスに基づき計算します。

 

 

育児休業手当

基礎収入を確定する際に、争いとなりうる場合として、老齢厚生年金、失業保険給付金、育児休業手当(育児休業給付金)があります。

年金生活者の場合

年金年金収入は、本来、世帯の生活費に充てられるべき収入ですから、実務上婚姻費用を算定するに際して収入と考えられています。

しかし、年金収入を得るには、職業費はかからないので、その点を修正した上で算定表や算定方式によって算定する必要があります。

この点について、給与所得における職業費は給与収入の約20%ですから、それを用いて換算します。

なお、年金給付額の約1.25倍の給与所得があると考え、算定表を用いて近似的に算定することも可能です。したがって、年金額×約1.25を基礎収入とします。

失業保険給付金の場合

失業保険は、雇用保険の被保険者(給与受給者)だった人が定年や自己都合等で仕事をやめた場合に支給される給付金です。

これは、生活保護が困窮した人に対して国が最低限度の生活を保障する制度であるのとは異なり、世帯の生活費に充てられるべきものですので、基礎収入に含まれます。

この場合も、職業費が必要ないですので、年金収入と同様に、計算します。

育児休業手当の場合

父子育児休業手当は、雇用保険の被保険者(給与受給者)だった人が育児休業期間中に支給される給付金です。

これも、年金、失業保険給付金と同様に、本来、世帯の生活費に充てるべき収入ですから、基礎収入に含まれると考えられます。

この場合も、職業費が必要ないですので、年金収入、失業保険給付金と同様に、計算します。

弁護士米盛太紀本件では、妻は、育児休業中ですから潜在的稼働能力は加味されません。もっとも、育児休業給付金を受給しているので、これを妻の収入として算定することができます。

そうすると、本件では、義務者(夫)の収入が400万円、権利者(妻)の収入が150万円(120万円 × 1.25)ですから、算定表に基づいて、婚姻費用は6万円~8万円となります。

なお、婚姻費用や養育費の算定は、あらゆる事情を考慮して判断されます。また、算定方式を用いて正確な算定をすることも可能ですから、詳しくは離婚問題に精通した専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

 


婚姻費用についてよくある相談Q&A

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