養育費の新算定表とは?【弁護士が考える現行算定表との違い】

弁護士の回答

弁護士養育費の新算定表とは、2016年に日本弁護士連合会が提言した、これまでの算定表に代わる新しい算定表です。

 

 

養育費の算定表とは

養育費は、親権者が子どもを監護養育していくために必要となるお金です。

養育費は、子どもの生活のための金銭であるため、簡易・迅速に算出される必要があります。

このようなニーズから、父母の収入金額や子どもの数と年齢だけで、迅速に確認できる早見表が家裁実務において活用されています。

これが算定表と呼ばれるものです。

養育費の算定表については、こちらから確認が可能です。

 

 

新算定表が提言された背景

日弁連は、現行の算定表について、以下のような問題があると指摘しています。

現算定表が指摘された問題点
  • 現在の算定表は2003年に公表されたものであり、時代の変化に対する対応や検討がなされていない
  • 算定方式においては、裁判所や調停委員会において、硬直的な運用がなされている
  • 分担義務者の生活水準に比して、養育費・婚姻費用が著しく低く算定されている

 

 

新算定用の提言の概要

このような問題点を踏まえて、日弁連は、算定方法を改善し、生活実態に即して適正に算出すべきとして、概要として、以下の提言を行っています。

基礎収入

①総収入に対する割合

チェック表変更前:基礎収入を総収入の4割と算定(住居費を可処分所得に含めていない。)

変更後:経費の意義に立ち返って見直し、基礎収入を総収入の6~7割と算定(住居費を可処分所得に含める。)

 

②公租公課

変更前:理論値で控除

変更後:実額で控除又は更新した理論値で控除

変更理由:実額で認定可能であり、税率等が改正されたため

 

③職業費

計算変更前:統計上の推計で控除

変更後:稼働者の支出に限定かつ統計資料を更新

変更理由:非稼働者の支出が含まれており、10年以上前の統計のため

 

④特別経費

変更前:統計上の推計で控除

変更後:特別経費として一律に控除することはしない

変更理由:住居費等を生活保持義務の対象から除外・住居費等の格差を固定・世帯人数を考慮しないため

 

生活費指数

悩む子ども変更前:子どもの生活費指数を0~14歳は55、15~19歳は90、親の生活費指数を100とする

変更後:子どもの年齢区分を0~5歳・6~14歳(6~11、12~14)・15~19歳・とし、人数に応じて算定

変更理由:従来版は乳幼児と小中学生の・生活費指数が同じであり、世帯のスケールメリットを考慮しない作りだったため

日弁連の提言の全文はこちらから確認できます。

 

 

新算定表の使い方

新算定表の考え方を説明します。

縦軸・横軸

新算定表は、現行の算定表と同様に、横軸を権利者(通常は母親側)の総収入とし、縦軸を義務者(通常は父親側)の総収入とされています。

また、現行の算定表は、自営業者(個人事業主等)のついては、給与所得者(サラリーマン等)と区別されて記載(給与所得者の 25万円ごとの総収入の目盛りに対応する課税される所得金額)されていました。

新算定表においても、現行算定表と同様に、自営業者について記載されています。

 

新算定表についてはこちらから確認が可能です。

 

子どもの人数と生活費指数

子ども子どもの人数については、現行の算定表と同様に、0~3人で区別されています。

しかし、年齢については、0~5歳(未就学児)、6~14歳(小中学生)、15~19歳(高校生等)の3つに細分化されており、全部で39表となっています。

 

 

新算定表の読み方

弁護士新算定表においても、現行の算定表と同様に、子どもの人数・年齢に応じた表(算定表1から39まで)を用います。

また、権利者(通常は母親側)及び義務者(通常は父親側)のそれぞれの総収入に近接する目盛りが交差するマスを参照します。

自営業者の場合は、それぞれの「課税される所得金額に近接する目盛りが交差するマスを参照します。

売上ではなく、経費等を控除した後の所得です。

自営業者の「課税される所得金額」は、確定申告書を使って調べます。

確定申告書の具体的な見方は、こちらから確認が可能です。

表のマスに記載された金額が、新算定方式に基づく金額となります。

なお、当該マスと同色に塗り分けられたマスを右上にたどっていき、表の枠外に記載された金額が現行の算定表(統計資料更新版)に基づく金額となります。

 

 

利用上の注意点

弁護士新算定表も、現行の算定表と同様に、簡易迅速に適切な養育費の額を算定するものであって、個別具体的な事情は考慮されていません。

例えば、子どもの医療費が高額である、私立学校へ通学している、などの場合、それらの実情を考慮しなければならないと考えられます。

 

 

新算定表の具体例

現行の算定表と比べて、新算定表の方が、一般的には養育費が高額となる傾向です。

具体例

父(義務者):年収 400万円(給与所得者)

母(権利者):年収 175万円(給与所得者)

子ども:15歳

上記の例では、現行の算定表では、養育費が月額5万円となりますが、新算定表では養育費が月額2万円となります。

 

本件における弁護士の考え 本件における弁護士の考え

上記に記載した日弁連の現行の算定表に対する問題意識は、確かに傾聴に値する部分があります。

現行の算定方式が発表されてから13年以上が経過し、その間に税制及び保険料率等の改正がされているのに、これらが算定表にきちんと反映されていないからです。

しかし、新算定表は、2018年12月現在、家裁の実務ではほとんど活用されていない印象です。

執筆者の個人的な経験となりますが、養育費の権利者側の弁護士から、「新算定表によるべきだ」との主張がなされることは目にしますが、調停委員会や裁判官が新算定表の適用を認めた事案を目にしたことがありません。

理由としては2つあると考えます。

まず1つは、これまで10年以上もの長きに渡って定着してきた現行算定表の適用をやめ、新算定表を活用すると、実務との整合性がなく、混乱を招く可能性があります。

また、現行の算定表は、確かに完璧なものではありませんが、算定結果に一定の幅があり、かつ、その幅の中でも不都合な場合、個別に修正しているので自体の変化等にも一応の対応が可能な状況です。

以上から、新算定表は、養育費の権利者側にとっては、より有利な条件となるため、主張するメリットがあります。

しかし、家裁実務上、少なくとも、現時点では活用されておらず、義務者側から「現行の算定表によるべきだ」との反論があれば、新算定表が適用される可能性は低いと考えます。

養育費について、くわしい解説はこちらをご覧ください。

 

 

 


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