弁護士に頼まないでも離婚はできますか?

執筆者
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士。
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2018年実績)

弁護士の回答

弁護士小野佳奈子弁護士に頼まなくても離婚をすることは可能です。

離婚は、大きく分けて①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚があります。

基本的には、協議離婚が調わなかった場合に調停を申し立て、調停離婚が成立しなかった場合に裁判をすることになります。

したがって、3つの手続きは段階的な関係にありますが、全ての手続きについて弁護士をつけることも弁護士に依頼せず当事者本人で手続きを進めていくことも可能です。

ここでは、本人で手続きを進める場合の注意点等について以下のとおりご説明します。

 

①協議離婚について

協議離婚とは、当事者の協議の下、双方が離婚に同意した上で離婚届を役所に提出して成立させる離婚のことをいいます。

離婚をするにあたり、親権、養育費、財産分与等の離婚条件を話し合うことが多いですが、必ずしも全ての条件を定めなければならないわけではありません。

当事者の離婚意思及び親権者の定めがあればその他の離婚条件を定めていなくても離婚届を提出し離婚を成立させることが可能です。

しかしながら、離婚にあたり財産分与等の離婚条件を定めておかなければならない場合がほとんどであり、多かれ少なかれ離婚条件に関する協議が必要になると思います。

また、立場によっては、離婚条件が調うのを待たずに離婚届の提出を先行させた方が良いのか、全ての離婚条件が調った後に離婚届を提出した方が良いのかが異なります。

そのため、離婚条件について全く争いがない場合には本人で協議離婚を進めても問題ありませんが、少しでも意見が食い違う可能性がある場合には離婚届の提出を急がないようにしましょう。

なお、離婚条件について争いがない場合でも合意した離婚条件について公正証書を作成することをお勧めします(立場によっては公正証書を作成せず単なる合意書で良い場合もあり、必ずしも公正証書の作成が必要なわけではありません)。

公正証書の作成について詳しい手続きの流れはこちらをご覧ください。

 

 

②調停離婚について

調停離婚とは、裁判所の調停手続において成立する離婚のことをいいます。

離婚についての協議が調わない場合や協議が遅々として進まない場合等に、当事者のどちらかが裁判所に離婚調停の申立てをし、裁判所において調停手続きを行うことになります。

調停手続きは、あくまで裁判所を利用した話合いの手続きであるため、離婚条件について双方合意しなければ調停は成立しません。

そのため、仮に相手方に有利な条件を提示してあげたとしても、相手方が嫌だといえば調停を成立させることができないのです。

話合いによる解決が困難な場合には調停が不成立となり、次の段階である裁判による解決を図ることになります。

他方で、仮に法的な判断とかけ離れているような条件でも、双方の合意が調えば調停を成立させることが可能です。

調停が成立する場合、調停成立日が離婚日となり(戸籍に反映するための手続きは必要です。)、離婚条件に関しては裁判所が調停調書を作成するため、別途合意書や公正証書を作成する必要はありません。

調停手続きは話合いの手続きであり、法的な判断に拘束されないという点では当事者本人で手続きを進めていくことも十分に考えられます、

しかしながら、逆に言うと、調停委員等が提案してくる解決案が必ずしも法的にみて妥当なわけではなく自分にとって不利な提案をしてくる可能性があることに注意しなければなりません。

お金過去の案件で、既に婚姻費用の調停を本人で成立させてしまった後に離婚調停について弁護士に依頼された方で、合意した婚姻費用額が法的に支払わなければならない金額を大幅に上回っていた方がいました。

その方は、婚姻費用調停時に調停委員から「このくらいは支払った方が良い」と言われ、法的にもその金額が妥当だと思って調停委員の提案を受けいれたとのことでした。

最終的には当事者が金額について納得した上で合意をし、婚姻費用の紛争が解決したのですから、必ずしもこの調停が悪いというわけではありません。

弁護士中には、自分が多少損をしてでも本人同士で早期に解決をしたいという方もいるため、そのような場合に法的に妥当な金額がいくらであるかはあまり関係がないからです。

そのため、「法的に妥当な解決をしたい」、「得をしたいわけではないけど損はしたくない」という方は、調停委員はあくまで紛争を解決するための方法を模索する役割であり、自己に有利な主張や損をしないための主張、法的に妥当かどうかの判断等は全て自己責任で行わなければならないことを肝に銘じて調停手続きに臨みましょう。

離婚調停の詳しい手続きの流れはこちらをご覧ください。

なお、事前に相手方と協議することなく調停を申し立てることも可能です。

相手方がほぼ確実に離婚に応じないであろう場合や、DV・モラハラ等があり対等に話し合いを行えないような場合には、むしろ協議をすることなく調停を申し立てた方が良い場合もあります。

もっとも、少しでも弁護士に依頼する可能性があるのであれば、協議で解決した方が時間やコストがかからない場合が多いため、迷われている方は調停手続きに移行する前に弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

③裁判離婚について

裁判離婚とは、簡単に言うと裁判所の判断によって認められる離婚のことをいいます。

裁判所の判断によるため、夫婦間の合意がなくても裁判所が強制的に離婚をさせることができます。

裁判所が離婚を認めるには、法律で定められた離婚原因が必要であり、原則として離婚をしたいと主張をする方が離婚原因の存在を証明しなければなりません。

離婚原因について詳しくはこちらをご覧ください。

裁判と聞くと、絶対に弁護士に頼まないといけないと思われている方もいますが、当事者本人で裁判手続きを行うことも可能です。

しかしながら、協議離婚や調停離婚とは異なり裁判離婚は話合いではないため、当事者本人で進めていくことは格段に困難になります。

なぜなら、弁護士でなくても書面の提出が求められますし、自分の請求が認められるためにどのような主張や証拠が必要なのか、ある証拠からどのような事実が認められるのかといった判断が非常に難しいからです。

私が担当をした離婚裁判において、相手方が弁護士をつけず本人で対応をしていたことがありましたが、的外れな主張を続けており相手方にとって必要であろう主張がなされていないということがありました。

変な例えかもしれませんが、裁判所がカレーの作り方を聞いているにも関わらず、カレーがいかに美味しいかの主張を続け、どのような材料を用いてどのような手順で調理をしていくかの説明が全く出来ていないようなものでした。

誤解を恐れずにいうと、その相手方が変な相手方だったというわけではなく、それほどまでに法的知識のない方が過不足なく必要な法的主張をすることは難しいのです。

そのため、当事者本人で裁判手続を行うことは可能ですが、基本的には弁護士をつけることを強くお勧めします。

なお、法的知識を有している方や争点が少なく主張立証すべき事項が少ない場合等は、本人で裁判手続きを進めることも十分に考えられると思います。

また、コストの関係で弁護士に頼みたくても頼めないという方もいると思います。

そのような場合でも、今は弁護士による無料法律相談を行っている法律事務所や自治体も少なくないため、適宜弁護士の助言を受けられてはどうでしょうか。

もっとも、無料法律相談にも回数に限りがあるため、裁判所に提出しなければならない資料の確認や単なる手続きの流れの確認等については、直接裁判所に確認をしたりHPで検索したりし、弁護士への相談はそれを超えた内容(裁判の見通しやそれを踏まえた方針等)を相談することをお勧めします。

離婚裁判の詳しい手続きの流れはこちらをご覧ください。

 

 


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弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士。
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2018年実績)

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