離婚後新たに国民健康保険等に加入するまでの期間は無保険となる?

手続きについてよくある相談Q&A

執筆者:弁護士宮崎晃

原則として無保険にはなりません。

弁護士宮崎晃専業主婦など会社勤務の夫の扶養に入られていた方の場合は、離婚に伴い、元夫の健康保険から外れ、新たに国民健康保険に加入する手続を市区町村の役所で行う必要があります。

その手続は、具体的には、①あなたが保険証を元夫に返したうえで、②元夫が勤務先の会社で資格喪失証明書を取得したものをあなたが受け取り、③その資格喪失証明書を持って役所に行き、加入手続を行うという流れになります。

この場合、離婚後なので、元夫からの資格喪失証明書の授受は郵送等でなされるのが通常だと思いますが、そうなると、健康保険の資格喪失後、国民健康保険の加入する手続までの間にタイムラグが生じるので、自分が無保険状態になるのではないかと不安を持たれる方もいらっしゃるでしょう。

弁護士しかし、無保険状態にはなりませんので、ご安心ください。

確かに、資格喪失証明書の取得日と国民健康保険の加入手続を行う日との間にはタイムラグが生じますが、実務上は、資格喪失証明書の取得日に遡って、国民健康保険の加入日として扱うということになっています。

もっとも、資格喪失証明書が発行された日から国民健康保険の加入手続を行った日までの間に、急病などで病院で治療を受けた場合には、病院でのお支払いは、いったん、全額自己負担の際と同額を支払っておかなければならず、国民健康保険の加入手続後に、役所で還付の手続を行うことになります。

具体的には、医療費は3割が自己負担なので、還付の手続を行うことで7割分が戻ってくることになります。

以上をまとめますと、次の通りです。

たとえ、夫に保険証を返した場合でも、無保険状態にはなりません。

もっとも、タイムラグが大きくなると、その分、その期間に病院にかかる可能性が高くなってしまいます。

そうなると、いったんは全額自己負担と同額の治療費を支払い、その後、還付の手続をとるといった多少面倒なことになってしまいます。

できるだけ速やかに、国民健康保険加入の手続を行えるように、離婚前に夫に協力を求めておくと良いでしょう。

いつまでに、どんな届出が必要?

 

国民健康保険に加入するときは、健康保険等の資格を喪失した日から14日以内に、住所地の役場(区役所等の保険年金担当課)へ届出が必要です。

手続が遅れると、遡って保険料を支払う必要があるので注意されてください。

また、その間の医療費はやむを得ない事由がなければ、全額自己負担となる可能性があります。

 

 

届出に必要な書類とは?

健康保険の資格喪失証明書の他に必要な書類

・印鑑

・国民健康保険に加入する人のマイナンバーが分かる書類(個人番号カード、通知カードなど)

・手続きに来所する人の身元確認書類(免許証やパスポートなど顔写真があるものは1点、住民票や介護保険証など顔写真がないものは2点必要。)

・各医療証(子ども、障がい者、ひとり親家庭等。家族の人が持っている場合も持参してください。)

・キャッシュカード、または通帳と金融機関の届出印(口座振替のため)

お住まいの地域によって異なる可能性があるため、詳しくは役場にお問い合わせください。

 

離婚と健康保険の問題点

女性上記のとおり、国民健康保険への加入は、「資格喪失証明書」が必要であり、これまで扶養に入っていた方は、相手方に頼んで、会社で発行してもらう必要があります。

一見簡単そうですが、離婚事案においては、スムーズにいかないことが見受けられます。

これは次の理由によるものです。

◎ 相手方(夫側のことが多い)が会社に離婚した事実を伝えていない

相手方が世間体を気にして離婚したことを秘匿したい場合、職場に離婚したことを話してくれない可能性があります。

 

DV、モラハラ案件

相手方からDVやモラハラを受けていた被害者の方の場合、相手方と接触を取りたくないという気持ちが強く、資格喪失証明書の発行を依頼できないという問題があります。

 

◎ 感情的な対立

離婚するまでの経過の中で、相手方が増悪感を持つなどして、感情的になっているため、資格喪失証明書の発行を依頼しても無視される場合があります。

弁護士このような場合、資格喪失証明書の取得は容易ではありません。

他方で、国民健康保険への加入には、期限があり、これを過ぎると医療費を全額自己負担する可能性があります。

 

資格喪失証明書を取得できないとき、どうすればいい?

資格喪失証明書を取得できない場合、以下の対応が考えられます。

◎ 第三者に相手方に連絡をとってもらう

当事者同士ではスムーズに話ができない場合、家族、知人、弁護士などの第三者を通して、相手方に資格喪失証明書の発行を伝えるという方法があります。

 

◎ 相手方の会社に連絡する

相手方に依頼しても発行してもらえない場合、直接、会社に連絡するという方法もあります。

会社は被保険者や被扶養者に異動が生じた場合、5日以内に保険者に対して届出をする義務があります。

しかし、中小企業の場合、担当者が必要性を理解してくれない可能性もあります。

 

◎ 役場への相談

上記の方法でも取得できない場合、お住いの市区町村役場の国民健康保険課窓口に相談することをお勧めします。

 


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