養育費の減額に成功した夫Fさん(30代)の事例

ご相談者Fさん (大分県大分市)
職業:会社員
婚姻期間:8年
解決方法:裁判
子どもあり (3人)
離婚を求められた

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 利益
養育費 月額2万4000円*3人 月額2万円*3人 228万円
面会交流 × 電話やメールでの交流

 

状況

Fさん夫婦は8年前に結婚して、その後3人の子どもを授かりました。

しかしながら、妻が双子を出産した後の子育てを巡って口論となり、妻は子どもたちを連れてFさんの了承もなく突然実家へと帰りました。

こうした妻の行動にFさんは深く傷つき、その後3年近く連絡をとることもなく別居状態が続きました。

そして、妻がFさんを相手に離婚裁判を提起してきたため、驚いたFさんは弁護士に相談しました。

 

弁護士の関わり

まずは離婚についてのFさんの意向を確認しました。

Fさんとしても離婚はしたいということでしたので、養育費について相手方と訴訟の中で交渉を行っていきました。

相手方は当初1人当たりの養育費として月に2万4000円を希望していましたが、粘り強い説得の末、月額2万円で和解することができました。

 

補足

このケースでは、双方が離婚したいと考えていたため、裁判所の判決での離婚よりも和解による解決の方がふさわしい事案でした。

しかしながら、相手方も裁判を提起している以上、いきなりすぐに和解の話をしてもうまくいかないことも多くあります。

したがって、和解のタイミングを見計らって適切な時期に交渉をすることで解決の可能性も高まります。

裁判所の統計では離婚裁判の平均期間は1年強とされています。このケースはそれよりも短い期間で解決することができました。



 

 

養育費の減額の問題点

養育費の減額が問題となる事案では、共通の問題点が見受けられます。

養育費の減額に精通した離婚弁護士が養育費の減額の問題点について解説するので参考にされてください。

 

養育費の適正額を判断しにくい

養育費は、家裁実務上、標準算定方式という手法で適正額を算出します。

これは、権利者(養育費をもらう側で、母親が多い)と義務者(養育費を支払う側で、父親が多い)の収入に、子供の年齢に応じた一定の係数を乗じて算出する方法です。

また、標準算定方式による養育費の額を素早く確認するために、「算定表」という早見表が作成されています。

この算定表は、権利者と義務者の収入と子供の年齢がわかっていれば、養育費の適正額を確認することが可能な作りとなっています。

したがって、算定表の見方さえわかれば、一般の方でも、養育費の適正額を調べることが可能なようにも思えます。

しかし、養育費の適正額を把握するのは容易ではありません。算定表を使っても、素人の方は、誤った額を適正額であると思いこんでいる例がたくさんあります。

これは、次の理由によるものです。

 

適切な収入を把握していない

収入についての勘違いで多いのは次の事例です。

  • 給与所得者で手取りの収入を年収と勘違いしている
  • 専業主婦について稼働能力があるのに年収を0円と勘違いしている
  • 自営業者について課税される所得金額を収入と勘違いしている
  • 副業を収入に含めていない
  • 不動産所得を収入に含めていない
  • 会社社長を自営業と勘違いしている

 

特別支出を考慮していない

  • 私立の保育園や幼稚園に通っているのに養育費を加算していない
  • 私立の中高に通っているのに養育費を加算していない
  • 大学に進学しているのに養育費を加算していない
  • 親の学歴、職業などから当然大学に進学することが予想されるのに養育費を加算していない
  • 子供に障害が持病があるのに養育費を加算していない

 

義務者の負担を考慮していない

  • 義務者が権利者が居住する自宅の住宅ローンを負担することを考慮していない
  • 義務者が権利者の生活費を負担しているのに養育費を減額していない

 

養育費については、上記のような勘違いがとても多くあります。

「わかっているつもり」で「実は損をしていた」ということにならないように注意しなければなりません。

 

離婚調停は長期化する傾向

養育費を取り決めるにあたって、離婚調停を利用する夫婦は多くいます。

しかし、離婚調停は、裁判所という公的機関を利用する制度です。

そのため、解決までに長期間を要するという問題が指摘されています。

離婚調停は、通常、1回や2回では成立しません。

また、離婚調停の期日(離婚調停が開催される日)は、早くても概ね1ヶ月に1回程度です。

裁判所の夏季休廷や年末年始、裁判官の移動時期(3月から4月)についてはなかなか期日が入らないため、短くて半年、長いと1年以上かかってしまいます。

また、離婚調停は、平日の昼間しかありませんので、働いている方は、離婚調停の度に会社を休まなければならなくなります。

そのため、離婚調停は当事者にとって負担が大きいという問題があります。

 

当事者同士では解決が困難

夫婦上記のとおり、離婚調停は避けるべきであり、可能であれば協議で解決すべきです。

しかし、養育費の交渉は、当事者同士では難しい場合が多い傾向です。

理由は2つあります。

 

相手への不信感

離婚する理由は人それぞれですが、離婚する夫婦のほとんどは相手に対して不信感を持っています。

そのような状況において、例えば、「養育費は○円が適切です。」と伝えても、相手はその言葉を信じられないでしょう。

なお、DVやモラハラのケースでは、相手と接触することすら不可能という被害者も多くいます。

そのようなケースでは、協議どころではないでしょう。

 

養育費の特殊性

養育費は、権利者の側(通常は母親)からすると、子供の生活や教育のために必要な大切なお金です。

したがって、「少しでも多くもらいたい」と考えているはずです。

これに対して、義務者の側(通常は父親)からすると、「養育費が子供のために使われずに母親が使ってしまうのではないか」と心配しているケースが多くあります。

このような場合、「少しでも減らしたい」と考えています。

このような養育費の特殊性から、その他の離婚条件よりも、当事者同士での協議が難航する可能性があります。

 

 

養育費の減額を成功させるポイント

上記の養育費の問題点を踏まえて、養育費の減額を成功させるポイントについて、解説します。

 

適正額のポイント

給与所得者の場合

給与所得者とは、サラリーマンなど、会社から雇われて給料をもらっている方のことをいいます。

給与所得者の場合、源泉徴収票や所得証明書(課税証明書ともいいます。)で年収を把握することが可能です。

源泉徴収票の場合、「支払金額」の欄を見れば、税込みの年収が記載されています。

所得証明書の場合、所得ではなく、収入の方を確認してください。

ただし、所得証明書については、発行する自治体によって体裁が異なるので、正確には離婚の専門家にご相談ください。

また、給与所得者でも、確定申告を行っている場合があります。例えば、年収2000万円を超える場合や副収入がある場合です。

このような場合は、源泉徴収票ではなく、確定申告書を確認すべきです。

なぜならば、源泉徴収票は給与を支払っている会社が発行するものであり、その他の収入については記載がされておらず、実際の年収より金額が少なくなってしまうからです。

源泉徴収票等の見方については、こちらのページに詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

 

自営業者の場合

多忙な男性自営業とは、会社員として毎月給与をもらうのではなく、独立して個人で行っている事業のことです。

株式会社などの会社を作る場合は、個人ではないので、自営業ではありません。

会社の社長を自営業と勘違いしている方が多いのですが、社長やその他の役員は、会社から役員報酬をもらっているので、給与所得者となります。

自営業の場合、収入を把握するために、確定申告書を確認する必要があります。

確定申告書には、売上、経費、所得などの欄があります。売上(稼いだ金額)から経費(稼ぐためのコスト)を引いた残りが所得となります。

確定申告書の中には、「課税される所得金額」という欄があり、そこに記載されている金額が自営業者の収入のベースになってきます。

しかし、自営業は、実際には支払っていないものの、税務上の観点から経費として認められた費目があります。

また、実際に支払っていたとしても、扶養義務に基づく養育費よりも、優先度が低い費目があります。

これらの費目について、経費として控除するのは妥当ではないため、持ち戻す必要があります。

確定申告書の見方については、こちらのページに詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

 

特別支出の考え方

学校子供が私立の学校に通っている場合や大学に進学している場合、算定表上の養育費に一定程度の加算が認められる可能性があります。

算定表上の養育費は、公立学校の授業料相当額しか考慮されておらず、私立等については効率よりも授業料が高額なため一定程度上乗せすべきと考えられているからです。

また、大学進学について、義務者(養育費を支払う側)が了承していたような場合、大学の授業料については一定程度加算が認められる可能性があります。

このような特別支出については、こちらのページで詳しく解説していますので、ぜひ御覧ください。

 

控除できる場合

養育費の義務者(養育費を支払う側)が権利者(養育費をもらう側)が居住する自宅の住宅ローンを負担している場合、算定表上の養育費から一定程度減額できる可能性があります。

また、住宅ローン以外でも、権利者の生活費(携帯電話料金、保険料、光熱費等)を負担している場合も、養育費を減額できる可能性があります。

これらについては、ケース・バイ・ケースですので、くわしくは離婚問題の専門家へのご相談をお勧めいています。

 

養育費の話し合いのポイント

養育費の協議は、上記のような問題点がありますが、もし、当事者同士でのスムーズな協議が可能であればチャレンジしてみてください。

しかし、当事者同士の協議が難しい場合、第三者に入ってもらうことがポイントとなります。

第三者としては、両親や共通の知人、弁護士などが考えられます。

しかし、両親や知人については、巻き込んでしまい事を心配される方も多くいらっしゃいます。

また、両親等については素人の方であるため、専門的な知識を踏まえた交渉はできないでしょう。

弁護士に交渉を依頼されると、その弁護士が依頼者に代わって相手と協議を行ってくれると思います。

この場合は、離婚問題に詳しい弁護士に依頼されることがポイントとなります。

 

離婚調停のポイント

協議での解決が難しい場合、離婚調停の利用も検討しなければなりません。

離婚調停は、できるだけ早く解決させることがポイントとなります。

また、離婚調停では、離婚専門の弁護士に同席してもらうことで、不利になることを防止できます。

離婚調停については、手続の流れや損をしないためのポイントについて、こちらのページで詳しく解説しています。

 

 

まとめ

養育費は、一度決めると、よほどの事情がない限り変更することができません。

そのため、養育費については、上記の問題点やポイントを踏まえて、慎重に進めていくべきです。

また、離婚専門の弁護士に具体的状況を伝えることで、適確なアドバイスを受けることが可能となります。

当事務所では、離婚事件チームに所属する弁護士が養育費の減額について親身になってご相談に応じております。

ご相談についてはこちらをご覧ください。

 

 




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