実施されていなかった面会交流を行えるようになった夫Eさんの事例

ご相談者Eさん (北九州市小倉北区)
職業:公務員
世帯年収:900万円
婚姻期間:8年
解決方法:協議
子どもあり (2人)
慰謝料を請求した

相手:30代会社員

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 利益
面会交流 不実施 実施 実施

状況

Eさんは、平成20年に妻と結婚し、2人のお子さんをもうけました。

しかし、妻に不貞行為があったことが発覚し、Eさんは平成28年に離婚しました。

Eさんは、離婚直前に自宅を購入していましたが、離婚に伴いこれを売却して処分し、その残ローンを支払っていました。

妻は、自分の責任を負うため、このローンが支払い終わるまでの間、養育費を受け取らないということで合意していました。

ただし、合意書は作成されておらず、口約束でした。

不貞行為が許せなかったEさんは、相手である男性に慰謝料を請求する決意をしました。

ところが、元妻としては、(あとから判明したことですが、)自分が全責任を負うということで合意したと認識していたので、男性に対する慰謝料に強い抵抗感を示し、面会交流にも応じない姿勢を示しました。

一貫して、元夫婦の言い分は食い違う点が多くありました。

それぞれの話はストーリーとしては筋の通るものでしたが、おそらく認識が一致しないまま、今日に至ってしまったというのが実体であったと考えられます。

そこで、お子さんたちとの面会交流を実現するため、Eさんは弁護士に相談しました。

 

 

弁護士の関わり

弁護士は、Eさんの代理人として、妻に協議の申入書を送付するとともに、不貞相手の男性にも慰謝料請求を行う通知書を送付しました。

元妻は、Eさんが男性に請求しないことで合意したという認識だったため、強い抵抗感を示しました。面会交流にも消極的でした。

ただ、直接話を聞いてみると、子どもたちにとっても父親の存在が必要であることは理解していました。

そのため、慰謝料の請求はひとまずわきに置き、面会交流についてどういうところに不安があるのか、それを払しょくするためにはどのような形の父子の関りを望んでいるのか、聞き取りを行いました。

元妻としては、面会交流をする以上は、子どもたちが自立するまでしっかりと子どもたちの成長を見届けてほしいという気持ちがありました。

他方、Eさんとしては、元妻が再婚したら面会交流をしなくなるのではないか、という不安がありました。

そこで、元妻にはきちんと面会交流に応じてもらうことを大前提として、Eさんにも元妻が考える交流の在り方をある程度受け入れてもらうこととしました。

その後、互いの共通認識に基づいて試行的に面会交流を実施し、ひとつずつ不安点を解消しながら、最終的には互いのルールを書面に残し、面会交流を実施できるようになりました。

また、自宅の残ローンが支払い終わる時期を特定して、その時期から算定表に基づいた養育費を支払う約束文言を設け、Eさんがお子さんたちのことをしっかり考えていることを示すことで、元妻の納得が得られる工夫をしていきました。

こうして、互いに納得のいく形で、離婚時に積み残していた問題を解消し、新たなスタートを切ることができました。

なお、男性に対する慰謝料請求ですが、確かに、裁判手続きを経れば、Eさんが勝訴する見込みはありました。

しかし、そうなれば元妻が面会交流を行わなくなる可能性があったこと、その結果お子さんたちが元夫婦の高葛藤状態に巻き込まれる可能性が高かったこと、そして、Eさんの一番の希望は円滑な面会交流の実施であったため、慰謝料請求は取り下げることしました。

ただ、この男性の行った事実が消えるわけではありませんので、Eさんに対する謝罪文を書いてもらいました。

 

 

補足

本件のメインの争点について解説します。

面会交流について

子どもと離れて暮らしている親は、子どもの健全な成長のため、子どもと交流する利益を有しています。

もっとも、離婚に伴う夫婦の葛藤に巻き込まれる形で、面会交流をうまく実施できないケースが多くあります。

もちろん、裁判手続きを経て面会交流を実施していく方法はありますが、子どもの意思を尊重しなければならないため、裁判所による命令で面会を実施するというのはあまり適切ではないことが多くあります。

離婚をする夫婦(あるいは離婚をした元夫婦)としては、互いに嫌悪感を持ちやすい関係にはあります。

「面会とその他の問題は別である」というのは裁判所も説明する事柄ではありますが、それが容易ではないというのも難しいところです。

お子さんとの交流というのは何物にも代えがたいことです。

お子さんを巻き込まないために、思い切って自身の権利行使を思いとどまるというのも時には必要なことがあります。

面会交流について、詳しくはこちらをご覧ください。

離婚問題については、当事務所の離婚弁護士まで、お気軽にご相談ください。