行方不明の夫が見つからないまま離婚できたNさんの事例

執筆者
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士。
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)
ご相談者Nさん (福岡市早良区)
職業:パート
婚姻期間:2年
解決方法:裁判
子どもあり (2歳)


相手:20代無職

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

掲載日:2020年1月21日|最終更新日:2020年1月21日

サポート無 サポート有 増額利益
離婚 不成立 成立
親権 獲得

状況

Nさんは、妊娠をきっかけに夫と結婚をしました。

しかしながら、夫は、子どもが誕生して半年後には自宅を出て行き、さらにその約1年後には連絡すら取れなくなりました。

夫は、連絡が取れなくなる直前までは生活費を支払ってくれていましたが、連絡が取れなくなると同時に生活費も支払わなくなりました。

また、夫は、連絡が取れなくなった頃に仕事を辞め、引越しもしていたため、連絡が取れないだけでなく居場所もわからない状況になりました。

Nさんは、このような状況では婚姻関係を継続できないと考え、公的な援助を受けるためにも夫と離婚をしたいと考えるようになりました。

また、無責任な夫が継続して養育費を支払うとは到底思えなかったので、夫には離婚と親権以外なにも求めるつもりはありませんでしたが、夫の連絡先も行方もわからない状況で離婚手続きを進められずにいました。

そこで、警察に対し「行方不明者届」を出すとともに、弊所の離婚専門弁護士に夫との離婚手続きについてご相談、ご依頼されました。

 

 

弁護士の関わり

まず、弁護士は、住民票を取得する等して夫の現住所地の調査を開始しました。

夫は、Nさんと一緒に住んでいた自宅を出て行った後、2度住民票を移動していたため、最後に登録されていた住所地にNさんが離婚を希望している旨の文書を送りました。

しかしながら、夫は、住民票上に記載された最後の住所地にも住んでおらず、送付した文書が夫に届くことはありませんでした。

そこで、弁護士は、住民票上に記載された夫の最後の住所地を管理していた不動産会社に連絡をし、夫の入居状況等を調査しました。

入居状況等は個人情報になるため、不動産会社によっては一切情報を開示してくれないこともありますが、本事例では不動産会社の協力を得られ、夫が既に引越しをし、居場所はわからない旨の回答を得ることが出来ました。

その他、夫の親族に連絡をする等の調査もしましたが、結果的に夫がどこにいるかはわからないままでした。

しかしながら、可能な限りの調査をしたことを裁判所に示し、また離婚原因の存在も認められたことから、ご依頼から約5ヵ月後には訴訟による離婚を成立させることが出来ました。

 

 

補足

本件において問題となるポイントをご説明いたします。

手続きについて

離婚を成立させるための主な手続きとしては、①協議離婚(離婚届の提出による離婚)、②調停離婚、③訴訟離婚が挙げられます。

このうち、①協議離婚はもちろんのこと、裁判所を利用する②調停離婚も相手方との話合いによって離婚を成立させる手続きであることから、相手方が行方不明の場合にはこれらの手続きを利用することは出来ません。

そのため、相手方が行方不明の場合には、③訴訟による離婚をすることになります

そして、③訴訟離婚をするためには、まず、相手方に訴状等が「送達」されなければなりません。

送達とは、裁判所が当事者等の関係者に対し、法定の方式に従い訴訟上の書類を交付する行為であり、直接の交付や郵便による送達等によって行われます。

本来であれば、裁判所から相手方に訴状等の訴訟上の資料が送達され、相手方がこれを受け取った後に具体的な訴訟手続きが進んでいくことになります。

しかしながら、本事例のように相手方が行方不明であり、直接の交付や郵便による送達が困難な場合に、「公示送達」という特殊な送達方法を用いる場合があります。

公示送達では、実際には相手方に訴訟上の書類が届いていないにも関わらず、裁判所の掲示板に掲示することにより相手方への送達ができたとみなします。

このように、公示送達は特殊な手続きであることから、公示送達による送達ができる場合は限られており、本事例においても公示送達の要件を満たすための調査等が必要になりました。

離婚について

公示送達等の方法により無事訴状の送達ができたとしても、裁判所に離婚を認めてもらうためには、訴訟を提起した側が離婚原因があることを主張・立証しなければなりません。

法律上の離婚原因は、以下の5つの場合に限定されています。

すなわち、①相手方の不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上生死不明、④回復の見込みのない精神病、⑤婚姻を継続し難い重大な事由の5つです。

本事例において、夫が③3年以上生死不明といえる状況ではありませんでしたが、生活費も支払わず居場所も告げないまま行方不明になり、その期間が長期間に及んだことから、②悪意の遺棄及び⑤婚姻を継続し難い重大な事由が認められ、訴訟による離婚が成立しました。

なお、配偶者が勝手に自宅を出て行き、直接の連絡が取れず行方が分からないような場合でも、弁護士を就けて連絡が来ている等の状況であれば、悪意の遺棄等が認められない可能性が高いです。

離婚原因が認められるかについては、諸般の事情を考慮して事例毎に判断する必要がございますので、離婚についてお悩みの方は、一度離婚専門弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

離婚原因について詳しくはこちらをご覧下さい。

 

 

執筆者
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士。
離婚分野に注力し、事務所全体の離婚・男女問題の相談件数は年間700件を超える。(2019年実績)




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