財産分与の割合を7:3とした会社経営者である夫Kさん

ご相談者Kさん (福岡市早良区)
職業:会社経営者
婚姻期間:約30年
解決方法:協議
離婚を切り出した

相手:専業主婦

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

掲載日:2016年3月2日|最終更新日:2020年1月21日

状況

Kさんは、20代の頃妻と結婚し、裸一貫で会社を作り、仕事に打ち込み、業績を伸ばしてきました。

Kさんの妻は、専業主婦でしたが、家事をあまりせず、普段からよく遊びに出かけていました。

Kさんは、そんな妻との別れを決意し、離婚を申し入れました。

妻は、弁護士を立て、条件次第で離婚に応じると言いましたが、Kさんの資産(約9000万円)の半分を財産分与として要求しました。

Kさんは、そんなに多額の財産分与に応じられないと主張しましたが、相手方が聞く耳を持たなかったため、弁護士に交渉を依頼されました。

 

弁護士の関わり

弁護士は、①いわゆる2分の1ルールが適用されず、財産分与の平等原則が認められない場合 もあること、②本件ではそのケースに該当し、資産の2分の1の財産分与は認められない旨を主張し、相手方と交渉しました。

その過程で裁判例を調べ、具体的な事例をもとにしながら、交渉を行いました。

本件では、具体的には以下の裁判例が参考になりました。

判例① 東京家裁平成6年5月31日

童話作家の妻と画家の夫の離婚で、生活費は双方負担、家事育児はほとんど妻負担の事案で、妻の寄与度を6割として不動産につき財産分与を認め、預貯金と著作権は各自に帰属するとの合意があったと解して分与対象とはならないとした事例

判例② 大阪高裁平成12年3月8日

夫が1級海技士で、1年に6か月から11か月という海上勤務の多さから多額の収入を得られた事案で7600万円のうち約3割の2300万円を妻に分与するとした事例

判例③ 奈良家裁平成13年7月24日

夫が香港で自分の小遣いで購入した勝馬投票券があたり、日本円にして1億9000万円相当を得たが、これを資金にして婚姻中に購入した不動産の売却金につき、夫の運によるところが大きいとして、売却金の3分の1である1160万円を妻に分与した事例

判例④ 東京地判平成15年9月26日

夫が一部上場会社の代表取締役で、婚姻中に約220億円の資産を形成したところ、扶養的要素も加味し、10億円を妻に分与することを命じた事例

上記の裁判例を引用しつつ、交渉を行ったところ、財産分与の割合を7:3とすることに成功しました。

具体的には、約9000万円を、夫が6300万円、妻が2700万円という形で分けることになりました。

 

補足

財産分与の割合についての実務の運用の流れ

財産分与の清算割合は、原則2分の1とされています。これを2分の1ルールといいます。

かつては、専業主婦の場合には妻の寄与度を4分の1から3分の1とした時期もありました。

しかし、家事労働の過小評価への批判、家事労働の評価の難しさ、役割分業から生じる夫婦間の所得獲得能力の不均衡を償うものとして清算を位置づける見解の定着などから、収入の多寡にかかわらず、寄与割合は原則平等とする実務が定着しました。

2分の1ルールが修正される場合

この2分の1ルールが修正される場合というのは一切ないのでしょうか。

結論としては、修正される場合は存在します。

具体的には、配偶者の一方の特別の努力や能力により資産形成がなされた事案では、特別の事情があるものとして、寄与割合が修正される場合があります。

平等原則は、夫が仕事、妻が家事育児という役割分業型の夫婦を念頭に置き、平等割合が公平であるとの考え方を背景としています。

しかし、その後、女性の就労が増えたことや、家族の形態、意識の変化等により、平等原則がかえって公平ではない事案も散見するようになりました。

そのため、前述の裁判例のように、寄与割合が修正されることもあります。

ただし、この寄与割合の修正は個別具体的に判断されるものであり、未だ裁判所はその修正には慎重なように思います。

より詳しくは、財産分与の問題に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

財産分与について、より詳しくはこちらをご覧ください。

 

 





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